それは終戦からはじまった

新視点からみた戦後史

内藤陽介 / 郵趣サービス社 / 96/01/10

★★★

興味深い戦後史

 著者は文科系の学者と思われる。本書は、著者の趣味である「切手」の方面からアプローチした日本の戦後史。終戦前後から占領期までの日本のあり方を、切手を通して考察する。樺太、沖縄、台湾、朝鮮半島あたりに目を配っているところが良く(ただし切手蒐集家の間ではおなじみの分野だと思う)、1996年の発行時点ではホットなトピックだった、アメリカの「原爆切手騒動」についても1章を費やしている。

 私は、切手蒐集については、小学校のときに少しだけハマった後、すっかり縁遠くなっていた。ただ、その頃に『郵趣』を購読していた私にとっては、本書のような「切手を通して歴史を語る」という方法論はおなじみのもので、懐かしい思いがした。あとがきには日本郵趣協会の故水原明窗の名前が挙げられている。別に自ら再びハマる予定はないのだが、ときにはこうして触れてみるのもいいものだ。

 欲を言えば、もっとボリュームが欲しかった。著者はこの後もいくつか本を出しているが、日本以外の国を論じているものばかりのようで、本書のテーマにもまだまだ突っ込む余地がありそうな気がする。また、あちこちに出てくる著者の政治的な価値観の表明は中途半端。切手の本で、そういうことを言ってもらわなくても大丈夫です。

日本郵趣協会のサイト。

2001/6/7

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