バジル

Basil

Radha Bharadwaj / Christian Slater,Jared Leto,Claire Forlani / 1997

★★★

そこそこ成功した文芸大作

 監督のラダ・バラドワジは、1991年に『クローゼット・ランド』というのを撮っているが未見。この映画は、近代のイングランドを舞台に、貴族の青年、労働者階級の男、商人の娘という階級の違う3人の間の人間関係を描いた文芸作品的ドラマ。労働者階級の男を演じているクリスチャン・スレイターが製作に絡んでいる。貴族の青年バジルを演じるジャレッド・レトーは新進俳優で、『シン・レッド・ライン』に、印象の残らない兵士の1人として出ている。商人の娘は『ジョー・ブラックをよろしく』のクレア・フォーラニ。演技のパターンを多くは持ち合わせていない大根女優のような気がしてきた。角度によってはオードリー・ヘップバーンに似て見えることがある。

 まあ貴族の青年がいろいろ苦労した末に成長するという真っ向勝負のビルドゥングスロマーン。世紀の変わり目と思われる時期のイングランドの描写が、よく言えばコンパクトに、悪くいえばセットにお金をかけられなかったんだろうなという感じで描かれる。やっぱりクリスチャン・スレイターとクレア・フォーラニが、その時期のイギリス人に見えないのが致命的なんだろうか。一方、ジャレッド・レトーは愚かな青年という非常に難しそうな役柄で、最初のうちは情動に乏しいという印象があったが、映画が進むにつれてこれはぴったりなんじゃないかという感想を持てるようになった。

 まあそういう感想を持てるだけの持続力と説得力があったということか。奇麗な映像とか凝ったカット割りなどに頼らず、ひたすら人間の強烈な感情の交錯だけに焦点を当てて作られている映画として、成功している部類に入る。

1999/12/4

IMDBの該当ページへ

検索ページへ 目次へ 前へ 次へ