シン・レッド・ライン

Thin Red Line, The

Terrence Malick / Sean Penn,Jim Caviezel,John Cusack,Nick Nolte,Woody Harrelson,Jared Leto,John Travolta / 1998

★★★★

これが面白いというのは脱帽

 監督のテレンス・マリックは、1978年の『天国の日々』以来の映画ということで話題になったが、考えてみると『天国の日々』のときも、1973年の"Badlands"(日本未公開)以来の久しぶりの作品ということで話題になったような気がする。どちらもきれいで落ち着いた感じの映画で、"Badlands"の輸入盤LDをあちこち探して買ったというような思い出もある。そういえば。

 スティーヴン・スピルバーグの『プライベート・ライアン』と同時期に公開された、第二次世界大戦を題材とした戦争映画ということで注目を集めた。兵士たちの「哲学的」なモノローグが挿入される、3時間近い長さの退屈な映画という評判も聞こえてきたけれども、実際に見てみると、これだけの時間、まったく退屈することのない緊張感溢れる映画だった。これは『プライベート・ライアン』と比較すること自体失礼である。

 有名俳優を将校に配し、若手のそれほど有名でない(ただし有能な)俳優たちに兵隊を演じさせることによって、戦場での兵隊たちの匿名性を描き出すというなかなかの頭脳プレー。日常性のなかにいつ異常な出来事が闖入してくるかどうかわからないという不安が、一本調子の「ストーリー」を排除した作りによって強調される。特に凄いのは、兵隊たちのことを思って正面突撃を拒否した中隊長が、そのせいでクビになって本国へと送還されたあとも、それよりもエピソード的な重要度が低いと思われる展開が1時間近く続くことだ。あるいは、軍曹役のショーン・ペンが、物語の比較的最初の方で「たった1回だけ」活躍するという巧妙さ。この映画は『地獄の黙示録』、『フルメタル・ジャケット』と並ぶ傑作戦争映画として記憶されるだろう。

1999/12/4

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