クライム・タイム

Right to Remain Silent, The

Hubert C. de la Bouillerie / Lea Thompson,Christopher Lloyd,Patrick Dempsey,LL Cool J,Carl Reiner,Judge Reinhold / 1996

★★★★

地味ながらもなかなかの佳作

 TVムービー。監督のヒューバート・デ・ラ・ブーユーリーは編集出身で、監督作品はこれが初めて。製作にジョン・マクティアナンの名前が入っている。

 警察学校を卒業したばかりの新米警官リー・トンプソンの、警察署での初勤務の一夜。彼女は純粋に狂言回しの役割を担い、次々と署に送られてくる被逮捕者の人間模様が描かれるオムニバス形式の人情ドラマという、アメリカ映画にはあまりなさそうな作り。戯曲の映画化らしい。映画はほぼ警察署の中だけで進行するが、あちこちの部屋の照明に微妙に凝っている。特にリー・トンプソンにあたる光がリアリスティックで、疲れている感じがよく出ている。

 警察官が被逮捕者にこれほど長い独白を許すということは考えにくいという意味で、ぜんぜん現実的でない映画なのだけれども、面白い脚本と、個々の役者の演劇的な意味での優秀さで見せる。ただ、たとえば最近見た『セックスの義務と権利』と比べると、描かれる人間模様が陳腐とはいえるか。もちろんこっちの方が、女装男、黒人なのにKKKの行進に参加していた男、HIVに感染している女教師、環境問題を考えるホームレスといった「変な人」がいろいろと出てくるのだが、こういうのはかえって型にはまるのだ。

 しかし、これらの登場人物の醸し出す真実味は並み大抵のものではなかった。非常に難しいはずのものができてしまっているという驚き。

1999/12/7

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