メリーに首ったけ

There's Something About Mary

Bobby Farrelly,Peter Farrelly / Cameron Diaz,Matt Dillon,Ben Stiller,Lee Evans,Chlis Elliott / 1998

★★★★★

良く考えられている傑作

 予告編から面白くなるはずのない映画を予想していた。そしてたしかに面白くなるはずのなさそうな映画だったんだが、これが本当に面白くてびっくりした。身体障害者ネタ、精神障害者ネタ、そして下ネタ満載の下品なコメディ。監督のファレリー(兄弟?)には『キングピン/ストライクへの道』という作品があるそうだが未見。いずれにせよ、エイブラハムズとザッカー兄弟の『トップ・シークレット』を見たときのような興奮を体験することができた。今後どうなるんだろうか。

 マット・ディロンが『イン&アウト』と同じような感じのバカな田舎者を演じていて凄い。松葉杖の建築家を演じるリー・エヴァンスは『マウス・ハント』の人で、ちょっと力不足か。一応主人公格のベン・スティラーは、『リアリティ・バイツ』と『ケーブル・ガイ』の監督作品もある役者。名演。キャメロン・ディアズは『ベスト・フレンズ・ウェディング』と同じ路線で素晴らしい。

 プロローグにベン・スティラーとキャメロン・ディアズの高校時代のエピソードがあることからわかるように、この映画は、1980年代のハイスクール・バカ騒ぎ映画(『ナショナル・ランプーン』シリーズとか『ポーキーズ』とかああいうの)の後日談として企画されているのだと思う。あの手のバカ騒ぎ映画にちゃんとした映画は一本もなかったと言っていいが、それも含めたツケが、30歳前後にまで成長した男女(特に男)に回ってきているというのが、この『メリーに首ったけ』のテーマなのだ。高校生のときにバカだった奴は、30歳になってもバカなままで、年を食ってるだけ問題は深刻である。恐るべきなのは、高校生と30歳前後を同じメイクと演技で演じてしまうキャメロン・ディアズであり、これも意図的なものだろうが、よくよく考えてみると、80年代の青春バカ騒ぎ映画に出ていた女優たちはこういう風にはなっていない(たとえば、『ポーキーズ』の1作目にはキム・キャトラルが出ているみたいだし(ぜんぜん覚えていないが)、必ずしもバカ映画専門役者ではないけれども、ブルック・シールズとかジェニファー・コネリーとかケリー・プレストンとかリー・トンプソンとかあれこれ)。

 脚本と演出が良く練られている。無意味な伏線を丹念に張っているし(伏線の無意味さで笑わせるという高等技術)、プロローグのところで救急車に担ぎ込まれるベン・スティラーの靴の裏に血がべっとりと着いているというようなさりげない凝り方が面白い。盗聴も含めた登場人物たちの駆け引きは、それが本筋であるはずの『エネミー・オブ・アメリカ』よりも良く考えられている。いやまあ、終った瞬間にビデオを巻き戻してもう一度見たので、細かい配慮がなされていることがよく分かったのである。クリス・エリオットの顔にぶつぶつが出てくるタイミングなんか、非常に合理的なのだ。

 もちろん、これはオーディエンスを限定する映画かもしれないとは思う。

2000/3/20

 ピーター・ファレリーのデビュー作は『ジム・キャリーはMr.ダマー』

2000/4/6

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