サイコ

Psycho

Gus Van Sant / Vince Vaughn,Anne Heche,Julianne Moore,Viggo Mortensen,William H. Macy / 1998

★★★

想像したよりも良い

 ヒッチコックの『サイコ』のリメイク。ほぼ同じ時期に『ダイヤルMを廻せ!』のリメイクである『ダイヤルM』が作られた。あちらの方がアダプテーションであるのに対し、こちらはほぼオリジナルに忠実に作られている。

 監督が『グッド・ウィル・ハンティング』のガス・ヴァン・サントなので最悪のものを予想していたのだが、思ったよりも良かった。オリジナルの構成や脚本が良いということを改めて確認した次第だ。というのも私は、この『サイコ』はヒッチコックの映画の中でも「一発ギャグ」系統の、あまり大したことのない作品だと思ってきたのだった。

 オリジナルとこのリメイクを比べたら、オリジナルの方がいいのは決まっているんだが、特にこの映画の弱点はアン・ヘッシュ(ジャネット・リー)とジュリアン・ムーア(ヴェラ・マイルズ)という配役にあるだろう。まず、あらゆる意味でアン・ヘッシュは力不足である。そもそも、ノーマン・ベイツはアン・ヘッシュの着替えを盗み見て嬉しいかという根本的な問題があるが、それだけでなく、アン・ヘッシュがジャネット・リーのような「大スター」じゃないのが問題だ。別に適役だというわけではないが、ここはジュリア・ロバーツ・クラスの人気者を持ってこなくてはならない。次に、ジュリアン・ムーアが汚くて安っぽい。ジャネット・リーの足跡をヴェラ・マイルズが追うというその意外感を再現するには、もっと清楚で大人しい中堅女優を持ってこなくてはだめだ。

 些細なことを言っているように思えるかもしれないけれども、私が上で「一発ギャグ」と述べたのは、オリジナルの『サイコ』の本質は、このジャネット・リーとヴェラ・マイルズという2人の女優の選び方「のみ」にあると思っているからだ。

 一方、このリメイクの男優たちはオリジナルと比べるとかえって良い。ヴィンス・ヴォーン(アンソニー・パーキンス)とヴィゴー・モーテンセン(ジョン・ギャヴィン)は、演技派の起用という意味でオリジナルからの大きな変化である。ウィリアム・H・メイシー(マーティン・バルサム)は、現代の話なのに、この人が出てくるだけで1950年代の話に見えてしまうという問題があるにしても、なかなか良い。しかし、上にも述べたようにオリジナルを「一発ギャグ」と思っている私は、こういう男優たちの起用はかえって映画に悪影響を与えたのではないかと感じた。特にヴィンス・ヴォーンとヴィゴー・モーテンセンが普通の意味で良い演技をしたら、普通のサスペンス映画になっちゃうでしょう。

2000/4/29

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