サイモン・バーチ

Simon Birch

Mark Steven Johnson / Ian Michael Smith,Joseph Mazzello,Ashley Judd,Oliver Platt,David Strathairn,Jim Carrey / 1998

★★

悪いタイプの人情ドラマ

 ジョン・アーヴィング原作。監督のマーク・スティーヴン・ジョンソンは『ラブリー・オールドメン』や『ジャック・フロスト』などの脚本を担当しているが、これが初監督作品。本作でも脚本を書いており、人情ものに寄りかかった工夫のないストーリーしか作れない人という印象がある。

 イアン・マイケル・スミスが演じるサイモン・バーチという身体障害者(いわゆる「小人」、発達障害)と、ジョセフ・マッゼロ(達者な子役。『ジュラシック・パーク』、『激流』、『マイ・フレンド・フォーエバー』、『ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク』など)の演じる母子家庭の息子の友情物語。『マイ・フレンド・サイモン・バーチ』という邦題にならなかったのを喜ぶべきか。本物の身体障害者が洒落にならないストーリーを演じているという点では『マイ・ジャイアント』に相通じるものがある。

 人のいいおじさんにオリヴァー・プラット(『評決のとき』など)、神父にデヴィッド・ストラザーン(『フォー・エヴァー・ライフ/旅立ちの朝』。『激流』でジョセフ・マッゼロと共演している。皮肉な役柄)、成人した主人公としてジム・キャリーが出ている。いずれも演出がだめで、いいところなし。

 この映画で唯一良かったのは、主人公の母親を演じるアシュレイ・ジャッドだった。主人公の記憶の中で美しさと若さと優しさがいっそうきわだったはずの母親像を、型通りに完璧に演じている。アシュレイ・ジャッドは一部には「おばさん顔」として嫌う向きもあるようだが、私は断固支持する。この映画では、(化粧によっては)キャスリーン・クインランに似ていることがわかった。

 この映画は、障害を持っている子とその友人の設定がいくつか逆転しているにせよ、いろんな点で『マイ・フレンド・メモリー』によく似ている。シングル・マザー、父親の不在、「宿命」を持っているという思いこみ、二人でする冒険。違うのは、障害者を演じるキーラン・カルキンがプロの役者として入魂の演技をしたのに対し、イアン・マイケル・スミスが本物の障害者であることに寄りかからざるをえないこと。シャロン・ストーンが映画の中で唯一の弱い環であったのに対し、アシュレイ・ジャッドが唯一の救いであること。父親の不在に悩むエルデン・ハンソンが演じがいのある設定を与えられていたのに対し、ジョセフ・マッゼロの方は気の毒なこと(ちょっと脚本に無理がある見せ場が多かった)。「宿命」のあり方が、『マイ・フレンド・メモリー』の方が知的に処理されていること(こちらはちょっとモロ)。しかし何よりも大きく違うのは、『マイ・フレンド・メモリー』の子供たちが行う冒険が本当にわくわくするようなものだったことだ。この『サイモン・バーチ』では、せいぜい池で泳いで女の子としゃべるとか、教会のクリスマスの演劇に出演するというていどで、まああっちがファンタジーでこっちがリアルな話なんだといえばそれまでなんだが、どうしても「楽しい少年時代」という感じじゃない。

2000/5/12

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