犯罪心理捜査官2

When the Bough Breaks II

Howard McCain / Kelly McGillis,Bruce Dern / 1998

★★★

うーん、普通の映画

 『犯罪心理捜査官』"When the Bough Breaks" (1993)の続篇のTVムービー。"Perfect Prey"というタイトルもあるようだ。ところで、『犯罪心理捜査官』はマイケル・コーン監督の作品で、いままで見たサイコスリラーものの最高傑作と言ってもいいような名作だった。この『犯罪心理捜査官2』は、前作でアリー・ウォーカーが演じた主人公をケリー・マクギリスが演じている。なお、アリー・ウォーカーはこのあと、この映画にヒントを得たと思われるTVシリーズの『プロファイラー』"Profiler"に主演するが、このシリーズは(2〜3エピソードしか見てないが)どうしようもないものだった。

 単独で見たら、これはそれほど悪くない映画として記憶に残ったのかもしれない。しかし、前作の出来があまりに良かったので、あの映画で巧妙に避けられていた罠に1つ1つはまっていくのが哀しく、苛立つばかりだった。その罠というと……。

 犯人の描写が細かすぎる。前作では、犯人が何のために何をしているのかがよくわからず、それが怖かった。この映画の犯人像はそこそこ怖いにしても、やっぱり類型的である。

 犯人が普通すぎる。前作の犯人はロン・パールマンである。もうそれだけで怖いのなんのって。この映画のデヴィッド・キースは頑張ってはいるものの、やっぱり普通の人である(でも実は少し怖かったことを認めよう)。

 主人公のロマンス。前作では、若くて美人の主人公が、ロマンスに陥りそうで陥らないのである。これは実は凄いことなのだ。

 上司/チームとの関係。どちらも、既存の警察のチームに主人公が単独で送り込まれるというシチュエーションを使っているが、前作は、この関係が完全な対立でもなく、かといって完全な支持でもない、宙ぶらりんの形で進行するのである。これも凄かった。とりわけマーティン・シーンの、どう対応していいかわからないという感じが凄かった。

 種明かし。前作では、主人公の体の傷痕が1ショットだけ写し出された。この映画ではその種明かしが行われるのだが、前作の凄さは、傷痕が1ショットだけ写し出されたのに、その説明がまったくないまま最後まで行ってしまうというところにあった。今回の種明かしでは「なーんだ」という気になった。

 主人公のわけのわからなさ。前作のアリー・ウォーカーは、本当にわけがわからないのである。ごく普通の意味で、若くてきれいな女優さんが演じている役に感情移入するということが不可能な映画だった。この映画のケリー・マクギリスは、そりゃ普通のヒロイン像からは少しずれているけれども、まあ典型の1つではある。煙草の吸い方にも現れている。アリー・ウォーカーの煙草の吸い方は、ちょっとこれは見たことないなというぐらい病的だった。ケリー・マクギリスのはごく普通。

 まあしかし、考えてみれば、普通の映画ならば上記のような事柄は罠というよりもごく当たり前の手続きであり、それをネガティブな材料にするのは気の毒というべきだろう。そういうのを全部とっぱらって見ると、まあ悪くはないというところだろうか。いやもしかしたら、殺人犯の側の描写に限って言えば、これは平均以上かもしれない。犠牲者をショッピングするところなんか、けっこうドキドキしたもんなぁ。

2000/6/17

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