犯罪心理捜査官 最終章

Redball

Jon Hewitt / Belinda McClory,John Brumpton / 1999

★★★★

これはなかなか良い出来だ

 『犯罪心理捜査官』とも、『犯罪心理捜査官2』ともまったく関係のないオーストラリア映画。『犯罪心理捜査官 最終章』という紛らわしいタイトルを付けただけでなく、ビデオのパッケージが上の2作とほとんど同じになっていて、ひどいイカサマ商法ではあるのだが、これが実はそこそこ面白かった。

 タイトルとは異なり、これは単なる殺人課刑事ものであり、ミステリ小説の分野でいえば「新しい警察小説」の流れに属するような警察映画である。映画としては、不安定な手持ちカメラ、イレギュラーな編集、乱暴な(というかリアリスティックな)照明を組み合わせた「ニューウェーヴ」的なインディペンデント系映画。このように分類される映画には面白くもなんともないものが多いが、この映画は良くできていた。

 主人公の女刑事を演じるベリンダ・マックロリー(またはベリンダ・マクローリー)は、『マトリックス』に"Switch"の役名で出演している。連続殺人事件を担当していくうちに、精神の均衡を崩していく殺人課刑事を演じている。この人はけっこう美しくて良かったのだが、それ以上に印象に残ったのは、彼女の同僚の刑事たちだった。彼女も含めて、この刑事たちはみんな汚職と暴力と陰謀にまみれたどうしようもない人々なんだが、やけに魅力的でかっこいいのだ。こういう映画はもうアメリカでは作れない(70年代にはあったよな)、というわけで、辺境の地としてのオーストラリア独特の映画ということになるんだろうか。まあ日本の刑事ものの映画もひどいから、他の国のことは言えないが。

 連続殺人はいちおう物語の中心にあるのだが、その捜査とか謎を巡るサスペンスはほとんど無に等しく、ほとんどの時間はこの刑事たちの無軌道な行動の描写に費やされる。そういう無軌道さはありながらも、核には悪を憎む確固たる刑事魂がある、というわけでもなく、ただ単に悪い。そういう振る舞いが(このスタイルにしては)非常にうまく編集されているスピーディーな映像によって描かれていく。

 「インディペンデント系の映画でこういうものはたくさんあった」と言いたくなるような感じだが、実はこれほどうまく映画として仕上がっているのは珍しいというタイプのものなんじゃなかろうか。素直に楽しんで見ることができた。

2000/6/17

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