母の眠り

One True Thing

Carl Franklin / Meryl Streep,Renee Zellweger,William Hurt / 1998

★★

それがどうした

 監督のカール・フランクリンは、『青いドレスの女』、『運命の引き金』、『グッドバイ・ベトナム』などの作品がある人(いずれも未見)。ウィリアム・ハート(『最高の恋人』『第一の嘘』『ダークシティ』『ロスト・イン・スペース』)とメリル・ストリープが夫婦で、ストリープが癌にかかったので、キャリア志向の娘のレニー・ゼルウェガー(『ライアー』。『ザ・エージェント』のヒロイン)がニューヨークから田舎に帰ってくる。

 でまあ、予想されるようないろんなことが起こる。なんというか、メリル・ストリープとウィリアム・ハートについては、そつがないとしか言いようのない出来。上手なんだけど、それだけに予定調和の世界を見せられているという気分がしてくる。逆説的な言い方になるが、嘘っぽくなるんだね、あまりに上手すぎると。で、唯一興味の糸をつなぐのはレニー・ゼルウェガー。この映画のなかで、唯一、予想外のものを見せてくれるかもしれないと感じられる要素であった。

 IMDBのユーザー・コメントでは、1999年9月24日付のとある投稿者のコメントとして、「レニー・ゼルウェガーにはボイス・コーチが必要だ」というものがあった。たしかにこの人の声と喋り方は幼すぎるし、とりわけカフェテリアでウィリアム・ハートと衝突するときの声は、都会でプロフェッショナルな仕事をしていた女性というよりも、中学生の女の子というような感じだった。映画全体の構成を考えるならば、メリル・ストリープとウィリアム・ハートがまさに彼らが演じている役柄そのものに成り切っていたのに対し、レニー・ゼルウェガーはどうしてもキャリア志向の女性には見えず、したがって実家に帰ってきて主婦をやっていても別段フラストレーションを感じなくても良さそうだという印象を与えかねない配役だったろう。でも皮肉なことに、そうであるからこそ、私はこの映画に多少なりともの関心を持ち続けることができたのだった。

 映画自体が(ストーリーも含めて)、メリル・ストリープとウィリアム・ハートの演技を支えるだけの力を持っていなかったということなんだろう。

2000/8/6

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