マイ・フレンド・メモリー

Mighty, The

Peter Chelsom / Sharon Stone,Gena Rowlands,Harry Dean Stanton,Kieran Culkin,Elden Henson / 1998

★★★★★

素晴らしい

 図体だけでかいでくの坊と、隣の家に引っ越してきた佝僂少年の間の友情物語。『マイ・フレンド・メモリー』という理解しがたい邦題は、どうやら「隣の家に不治の病を持つ少年が引っ越してきた」というプロットだけが共通している『マイ・フレンド・フォーエバー』との連想からつけたみたいだが、あれだって原題は"The Cure"なのである。

 上で「佝僂少年」と書いたのは、なんせ映画の中でcrippledとかthe freakなどと呼ばれ、またそう自称もしているからだ(原作のタイトルは"Freak the Mighty"だが、これは「図体のでかい少年」のことを指している。)。ここのところを強調しておかないと、この映画の良さは伝わらない。この「フリーク」を演じるのはマコーレー・カルキンの弟のキーラン・カルキン。『花嫁のパパ』と『花嫁のパパ2』でその成長ぶりが観察できる子役だが、この『マイ・フレンド・メモリー』のキーラン・カルキンは何か変なものが乗り移ったんじゃないかと思えるほどの名演技を見せる。往々にして子役の名演技は「なにを小癪な」という感情を呼び起こしがちだが、この映画の役柄は、無理してそういう小癪な振る舞いをせざるをえない役柄で、でもその無理な態度のあちこちに絶望と弱さが透けてみえるというあたりの調整が天才的なのだ。それを、でくの坊を演じるエルデン・ヘンソンが的確な演技で受け止めて、結果としてほとんど隙のない名作ができあがった(唯一、シャロン・ストーンが弱いけれども、ハリー・ディーン・スタントンとジーナ・ローランズという超強力な人々が脇を固めている)。

 この映画の作者は、何がこの映画をよくするのかをしっかりと理解している。キーラン・カルキンが演じるフリークは、エルデン・ハンソンが演じるでくの坊の肩の上に乗ることで、肉体的なハンディキャップを克服する(より高いところから見下ろすことができる。より素早く動ける)。ところが驚くべきことに、この映画には、普通の人だったら当然入れたくなるであろう、キーラン・カルキンの一人称ショットがないのだ。そのことの効果が特によく出ているのが、遊園地に花火を見に行くシーンだろう。花火が上がる時間になったとき、周囲を背の高い人々に囲まれたキーラン・カルキンは、花火を見ることができない。このときにエルデン・ハンソンは、思い立って彼を肩の上に乗せることにするのだが、いきなり視野が広がったキーラン・カルキンの喜びが、彼の表情と仕草だけで表現される。

 最近見た難病ものとしてはベストの部類に入る(そういえばマイケル・チミノの『心の指紋』も微妙に良かったな)。まあ個人的な永遠のベストは『ラストコンサート』なんだが(かなり恥ずかしい)。

1999/10/16

 評価を4点から5点に変更しました。久しぶりに見直したところ、ほんとうに完璧に近い映画であることがわかったため。もう4回も見ていますが、毎回感動しています。

2000/9/24

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