聖なる嘘つき/その名はジェイコブ

Jakob the Liar

Peter Kassovitz / Robin Williams,Hanna Taylor-Gordon,Alan Arkin / 1999

いっそのこと醜いと言った方がよい

 監督・脚本のピーター・カソヴィッツは、ハンガリー生まれだが、主にフランスでTV映画を撮っている人のようだ。本作は、1975年の東ドイツ映画『嘘つきヤコブ』(1975)(未見)のリメイクということになる。

 第二次大戦下のポーランドのユダヤ人ゲットーで、ひょんなことからラジオを持っていると嘘を付いてしまったヤコブ(だよな)が、他の人々に生きる勇気を与えるという話。このヤコブを演じるのがロビン・ウィリアムズ(『奇蹟の輝き』『パッチ・アダムス』『ファーザーズ・デイ』)なんだが、申し訳ないんだが、この映画の「ポーランド語訛りの英語」が、ロビン・ウィリアムズの「ネタ」に見えてしまい、真面目に見ることができなかった。なんというか、藤村有弘が例の怪しげな三国人演技をするときの日本語で、それが中国語であるという設定で作られた南京大虐殺の映画に出演しているというような感触なのだ。中国人を演じる藤村有弘が、「あ〜、しぬあるよ〜」などと叫びながら残虐な日本人に殺されるというようなシーンが、果たして感動を与えうるかという根本的な問題である。

 いずれにせよ映画としての作りはまったく駄目なんだが、それ以前に、この言葉の問題に引っかかってしまってどうしようもなかった。この映画はポーランドを舞台にしており、主人公とその周囲のユダヤ人たちはみんなポーランド語を喋っているはずなんだが、それが「ポーランド語訛りの英語」である。そして、ドイツ人たちは「ドイツ語訛りの英語」を喋っていて、ときどき英語圏の人にもわかるようなドイツ語が挿入されるという常套手段だ。この感触が物凄くチープなんである。『愛と動乱のワルシャワ』のように、とりたてて特徴のない英語を喋らせて、それがポーランド語だという設定にした方がまだよかった。

 いつか、登場人物全員が英語を喋る赤穂浪士とか遠山の金さんの映画が作られるようになるのかもしれない。ジャパニーズ・イングリッシュの間に「キモノ」だとか「ハラキリ」とか「ショーグン」みたいな日本語が挟まれるのである。覚悟しておく必要がある。

2000/8/9

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