ベイブ/都会へ行く

Babe: Pig in the City

George Miller / Magda Szubanski,James Cromwell,Mary Stein,Mickey Rooney / 1998

★★★★★

大傑作

 1995年の『ベイブ』の続篇。前作で製作をしたジョージ・ミラーが、本作では製作・監督・脚本をやっている。

 『ベイブ』はかなり良くできている映画だったが、この続篇は非常につまらない二番煎じになっているという噂を耳にして敬遠していた。それは大きな間違いだった。これは、『マッドマックス2』、『エイリアン2』、『バットマン・リターンズ』と同タイプの、「オリジナルよりも凄い続篇」の1つである。この『ベイブ/都会へ行く』に比べたら、『ベイブ』は普通の映画だ。

 『バットマン・リターンズ』はともかく、『マッドマックス2』と『エイリアン2』は公開時にはかなり悲惨な言われ方をしたものだ。「脚本がだめだ」、「サスペンスがない」、「オリジナルの味わいが失われている」などと言われ、柳の下のドジョウを狙った駄作と言われたものである。しかし私は、『マッドマックス』も『エイリアン』も、1作目よりも2作目の方が好きだ(ついでに『ジョーズ』よりも『ジョーズ2』の方が好きだが、これを言うと変人と思われてしまう)。1作目の限界を打ち破り、まったく新しい映画を作りだしたという感触があった。『マッドマックス2』のカー・スタントとパンクたち、『エイリアン2』の海兵隊員とその活動は、それまで見たことがないまったく新しい映像だった。この『ベイブ/都会へ行く』は、前作以上に多様で多数の動物たちの見せる演技が素晴らしいが、何よりも心理映画としてちゃんと成立してしまっているところが凄い。

 動物たちの演技は、本物とCGとロボットを巧妙に組み合わせているのだろうが、尋常でなく見事である。『ベイブ』を見たときもかなり感動したが、この映画では個々の動物の表情に深みが出ているし、声優の演技も非常によく、ほんとうに動物たちの心理ドラマとして成り立っているし、またジョージ・ミラーはそのように確信的に撮っている。恐ろしい時代になってしまったものだ。あのオランウータンの後ろ姿と、それに挟まるチンパンジーのやり取りは、人間の役者を使ってもそうとう難しいシークエンスである。

 しかも、これはアクション映画である。最初にサルがトランクを盗むところのショットのつなぎ方ですでに感動してしまったが、やはり凄いのは、ピットブルとベイブの追いかけっこ、ホテルの手入れのところ、そしてクライマックスのパーティーでのシーンだろう。

 ピットブルとベイブの追いかけっこのところには、『マッドマックス2』を見たときのような感動があった。もはや、動物がうまく演技をしているというレベルではなく、どれだけ洗練された仕掛けを追いかけっこに盛り込むかという勝負になっている。ほんのちょっとだけ挿入されるスロー・モーションのうまさ、ゴミ捨て場で倒れてくるボトルの過剰さ、結末に向けての多段階の展開。

 ホテルの手入れのところは、『マッドマックス』シリーズの暴力性を思わせる。ここの部分、子供向けの映画としては不適切に思えるほどの暴力が描かれている。行使される暴力そのものはそれほどではないのだが、ショットのつなぎ方の唐突さが残酷な印象を与える。

 クライマックスのシーンは、マグダ・ズバンスキー演じるおばさんが大活躍する。前作でそれほど印象が強くなかったこの人に、これだけの活躍の場を与えていること自体に感動してしまった。自転車をこいで現場に急行するところなど、涙ものである。私は『マッドマックス/サンダーストーム』のティナ・ターナーの怪演を思い出した。

 他にもいろいろと見所がある。ジェームズ・クロムウェル(『ディープ・インパクト』『スピーシーズ2』『将軍の娘/エリザベス・キャンベル』は出番が少なくて残念だが、マグダ・ズバンスキーを主役に据えるための仕掛けということならばしかたがなかろう。ミッキー・ルーニーが物凄く奇怪なピエロ役で出ている。出番は少ないが、ゴッサム・シティを思わせる奇怪な都市のイメージの醸成に一役かっている。その他、オランウータン、チンパンジー3匹、サル、金魚、車輪付きの犬、アヒル、ネズミ3匹、ピットブルなど役者は多彩。

2000/8/9

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