ホーンテッド・ハウス

Kolobos

Daniel Liatowitsch,David Ocvirk / Amy Weber,Donny Terranova,Nichole Pelerine,John Fairlie,Promise LaMarco / 1999

★★★

出来はよくないのだが

 1991年にロバート・マンデル監督のTVムービー『ホーンテッド・ハウス』"The Haunted"というのがあるが、こちらはインディペンデントなフィルム。しかし、この映画は「幽霊屋敷」とはまったく関係がない普通のホラー/スプラッター映画で、若者たちが家に閉じ込められるという設定を考えれば、『CUBE IQ/恐怖の殺人屋敷』みたいなタイトルが付いていてもおかしくない。そうならなくて良かったのか悪かったのか。

 若者5人が、実験的な映画の撮影をするふれこみで家に集められ、あちこちにカメラが仕掛けられたその家の中で殺人が起こっていく。映画を見始めたときには、これは傑作なんじゃないかと思ったのだが、あちこちでボロが出始めてしまい、最終的な印象は「低予算の学生映画」というものだった。しかしそういうカテゴリの中で見れば、質はそこそこ高い方かもしれない。

 いきなりタイトルのバックにGoblinのパクリとしか思えない音楽が流れたので、「おおっ」と思った。残念ながら映画の中では普通の音楽が使われていたのだが。

 まあそういうわけで、ダリオ・アルジェント的なものを期待してしまっても仕方がない展開ではあったわけだ。その後、実験映画に参加しようとしている5人の若者の、オーディション用のビデオの映像が流れる。ここのところが非常にうまく作られていて、先の展開を期待させたのだが、残念ながらこれらの役者たちは、このオーディション用の映像で一番輝いていた。撮影現場に集められた彼らはかなり平凡な人間たちに見えており、これは明らかに演出家の力量不足を示唆している。

 で、ダリオ・アルジェント的な展開ということでいえば。主人公の女性とそれ以外の2人の女性の配置の仕方は、きわめてアルジェント的であるといってよい。残念なことに、それらの扱いがアルジェント的でなかった。なんというか、生き残る人に対しても、死ぬ人に対しても、アルジェント的な愛とエロスが感じられないのである。この映画に対する一番の不満はこの点にある。スプラッター映画は、どれだけストーリーに説得力がなくても、女性たちが美しく撮られていればそれでいいという観念が、ダリオ・アルジェントの映画界に対する貢献であったはずだ。そして、この映画に登場する3人の女性は、このレベルの映画でよくこれだけのものを集めたなと思ってしまうぐらい、アルジェント的な美人になりうる可能性を秘めた魅力的な女優たちなのである。キャーキャーと叫ぶばかりで、何ら有効な手を打てないでいても何の不思議もなさそうな主人公の女性(エイミー・ウェバー)。やたら元気が良くセクシーで、最初に殺されることが明白にわかるナイス・ボディーの女性(プロミス・レマルコ)。正統派美人で意志が強そうで、そこそこの反撃をしそうな長身の女性(ニコール・ペレリン)。この3人、特に後の2人が、明らかにアメリカではなくイタリアのスプラッター的な扱いをされるのにもかかわらず、美しく撮られていない。

 話自体は途中からはちゃめちゃになっていき、あらゆる説得力を失う。しかし、上で述べたように、スプラッターにはそういう説得力はいらないのであり、このところちゃんとしたスプラッターを見ていない私には、久しぶりのアルジェント的な指向を持った(しかしそれを実現するだけの力量がなかった)映画として印象に残った。ちなみに、この映画メモでこれまでに取り上げているスプラッター(と分類できそうなもの)にはこんなものがあるが、いずれもアメリカ映画的スプラッターであり、しかもその多くのものが、アメリカ流スプラッターの限界を悟ったがゆえの逃げとしてのパロディ映画である。この映画のように、まっこうから勝負を挑んでいるものは、失敗していても気持ちがよい。

2000/9/26

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