暗殺の瞬間
Sista kontraktet
Kjell Sundvall / Mikael Persbrandt,Michael Kitchen / 1998
★★★★★
かっこ良すぎ
1986年のスウェーデン首相オロフ・パルメの暗殺事件を題材にしたスリラー。監督のシェル・スンズヴァルはTVムービーを結構撮っている人のようだ。
北欧らしいていねいな映像と見事な構成の、見応えある映画だった。1970年代のアメリカ映画によくあった国家的陰謀サスペンスを思い出させる本格的なスリラーで、こういうジャンルで心の底から楽しめたのはほんとうに久しぶりという感じがする。
物語は、暗殺者とそれを追う刑事の2人を軸に展開する。暗殺者を演じているのは英国人のマイケル・キッチン(『007/ワールド・イズ・ノット・イナフ』)。この暗殺者が、『ジャッカル』のブルース・ウィリスの10倍以上はかっこよい。国家元首の暗殺を請け負うレベルの暗殺者はこうであって欲しいと思えるクールさ。刑事を演じるミカエル・パーシュブラントは、マルティン・ベックのTVシリーズに出演しているようだ。その陰鬱な感じが何となくニコラス・ケージを思わせるいい男である。
原題の"Sista kontraktet"は"The Last Contract"、すなわち「最後の契約」という意味。
ところで私はスウェーデン語を解さないのだが、この映画に含まれる英語のセリフの字幕が高い頻度で間違っているのを見て、スウェーデン語についている字幕をどのていど信用していいのか非常に不安になった。好意的に解釈すれば、スウェーデン語の翻訳者なので英語は苦手だったんだろうとなるんだが、たぶんそういうことじゃないんだろうな。
そういう問題を除けば、ほとんど完璧なフィルム・ノワール/ハードボイルド映画。
2000/10/25