エリン・ブロコビッチ

Erin Brockovich

Steven Soderbergh / Julia Roberts,Albert Finney,Marg Helgenberger,Aaron Eckhart / 2000

★★★

快調

 スティーヴン・ソダーバーグ(『アウト・オブ・サイト』の、完璧なエンタテインメント路線の監督作品。『シビル・アクション』と同じく、企業による水質汚染を追求する弁護士事務所の実話だが、こちらは主人公が弁護士ではなく単なる補助員であること、また陪審による裁判を行わなかったという点が違っている。

 『シビル・アクション』の事件がうまく行かなかったのに対し、こちらの事件がうまく行ったのは、この違いによるところが大きいと思われる。つまり、弁護士兼会社オーナーが理想主義者ではなかったこと、したがって訴訟による懲罰的損害賠償にこだわらなかったことだ。映画のストーリーが本当のことだとすれば、弁護士事務所の経営者(アルバート・フィニー)は引退間近だったので、バクチを打つのを好まなかった。また、時期的にも、こういう集団訴訟で懲罰的損害賠償にこだわるのが原告にとってあまり有利ではないという教訓がすでにできていたという事情がある(PG&Eのケースが終了したのは1996年)。

 主役のリサーチ・アシスタント、エリン・ブロコビッチを演じるジュリア・ロバーツは、1990年代では『アイ・ラブ・トラブル』と並んで最善な部類に属する。アルバート・フィニーは久しぶりに見たが、さすがに安定している。昔から老けていたが、完璧な老人となってまた味わいが深くなった。被害を受けた住人の役を演じるマージ・ヘルゲンバーガー(『沈黙の断崖』『ゴールド・コースト』『スピーシーズ2』)の使い方のセンスが良く、それだけでもこの映画は評価に値する。

 しかし、ソダーバーグは、『アウト・オブ・サイト』ならまだ許すけれども、この『エリン・ブロコビッチ』は魂を売り渡しすぎだと思う。私には、この映画は『遠い空の向こうに』と同様に1990年代アメリカの保守化を体現しているように見えた。うまく作ってあるだけに危険。

2000/12/5

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