バウンド

Bound

Andy Wachowski,Larry Wachowski / Gina Gershon,Jennifer Tilly / 1996

★★★★★

あらゆる意味で完璧な映画。見て絶対に損はない

 ウォシャウスキー兄弟のデビュー作。

 この映画はあらゆる点から見てまったく隙のない奇跡のような映画だった。緻密な脚本というだけでなく、その脚本が映像表現のレベルまで考えて作られていることがよくわかる。例を挙げれば、ジーナ・ガーションが部屋の壁を塗るために使っている白いペンキが何度も違う意味の小道具として使われるところなど。

 ウォシャウスキー兄弟のセンスの良さは、この映画の主役をジーナ・ガーションではなく、マフィアの情婦役のジェニファー・ティリーにしたことに現れている。出演作は多くても、ほとんど記憶に残らない脇役ばかり演じてきた彼女を(実際、私はぜんぜん覚えていない)、こんなふうに活かすことができたということだけでも賞讃に値すると思う。本質的に上品ではないので、どんなに着飾っていても品の悪さが見えてしまうグラマラスな情婦だが、とてつもないプレッシャーにさらされてもそれを生き抜く力を備えている。この映画のジェニファー・ティリーは、外見は各国の古典的なフィルム・ノワールによく出てくるタイプの女性でありながら、実際は1990年代にふさわしい力強い女性である。そのことを強調するために、あえて1990年代の強い女性のステレオタイプと呼んでも差し支えなさそうなジーナ・ガーションを相手役に持ってきて、物語の焦点を徐々にジェニファー・ティリーの側に移していくという映画作法上の配慮までしてあって、なんとも完璧だ。

 まことに個人的な話ではあるが、この映画のジェニファー・ティリーは、私の最も好きなミュージカル女優の1人であるミッチ・ゲイナー(のスクリーン上の姿)に似ているので、なおさらポイントが高くなった。

1999/10/21

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