パーフェクト・ストーム

Perfect Storm,The

Wolfgang Petersen / George Clooney,Mark Wahlberg,Diane Lane,William Fichtner,Mary Elizabeth Mastrantonio,John C. Reilly / 2000

★★

これは厳しい

 ウォルフガング・ペーターゼンの海洋パニックもの。セバスチャン・ユンガーのノンフィクションの映画化。

 巨大なハリケーンに遭遇して死んだカジキマグロ船員たちの物語。荒れる海のCGIが話題を呼んだ。この映画を見た多くの人が同じように感じたと思うのだが、レスキュー隊員たちの活動が半端でなく英雄的なものであるのに対し、主人公たちの行動は単なる欲ボケである。これを感動的ドラマにできると思ったこと自体が大きな勘違いであり、進歩したCGI技術を見せびらかしたいのだったら、いっそのことレスキュー隊員たちを主人公とした映画を作った方がよかったと思う。あるいは、そもそもレスキュー隊の活動を描かないようにするか。そうすれば、盛り上がりのないつまらない映画になったかもしれないが、映画全体が間抜けに見えるという事態は避けられただろう。

 ジョージ・クルーニーとマーク・ウォールバーグの『スリー・キングス』のコンビが、同じように物凄くヌルい演技をしている。脇でウィリアム・フィクトナーやジョン・C・ライリーが頑張ってはいるが、やはり限界はある。ダイアン・レインは、港町で恋人の帰りを待ち焦がれる女を演じているが空転。メアリー・エリザベス・マストラントニオが珍しく化粧っけのない役を演じていてかっこいいのだが、出番が少ない。たまたまマグロ漁船のノンフィクション(『まぐろ土佐船』)を読んだばかりだったので、漁のプロセス自体は興味深く見ることができたけれども。

DVDメモ。日本版

メイキング、監督による音声解説トラック。

 音声解説は聴かなかった。メイキングは興味深かった。この映画の海のCGIはたしかに見事なのだが、本編中の映像から、荒れ狂う海の中の漁船のシーンがどれぐらいのサイズのプールで撮られたのかがもろにわかってしまうという欠点があった。このことをメイキングの映像で確認することができたのである。

 そもそもこの映画の嵐のシーンでは、カメラの人称の問題が大きくなっている。要するに、「これは誰の視点なのか」ということだ。映画の中で、誰のものでもない神の視点が使われるのは当然のことなのだが、嵐のシーンがリアリスティックであればあるほど、こんなところにカメラを置いておくことができるはずはないという意識が観客の側に生じ、嘘っぽく見えることになる。リアリスティックでなければ、映画の約束ごととして記号的に諒解できていたような視点であっても、である。

 そしてこの映画では、特に漁船の上での人間の活動の様子を漁船の外から撮っているショットのほとんどすべてが、スタジオの大きさで制約されたアングルとサイズになっているというふうに感じられた。かなり興醒め。

2000/12/27

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