ナインスゲート

Ninth Gate,The

Roman Polanski / Johnny Depp,Frank Langella,Lena Olin,Emmanuelle Seigner,James Russo / 1999

★★★★

これは怖い

 ロマン・ポランスキー監督のホラー/スリラー映画。どうやら原作は、最近ヨーロッパで流行中のアーティスティックでペダンチックな文芸エンタテインメント小説のようだ。原作を書いたのはアルトゥーロ・ペレス=レヴェルトというスペイン人。

 ジョニー・デップ演じる古本探偵が、金持ちのフランク・ランジェラの依頼を受けて、世界に3冊存在する悪魔の書を探しながら、ニューヨーク、マドリッド、パリと渡り歩く観光映画。不可思議な未亡人をレナ・オリン、もっと不可思議な女性(クレジットにはThe Girlとあった)をエマニュエル・セニエ。ニューヨークの古本屋の親父をジェームズ・ルッソが演じている。

 これがなかなか怖い。最近見た『イグジステンズ』を思い出していたのだが、クローネンバーグのような視覚的ゲテモノよりも、このポランスキー映画のようにさり気ない映像の方が結局は怖くなりうるということをつくづく感じた。『イグジステンズ』のようなハイパーテンンション指向だと、映画の終わりまでどんどんテンションをエスカレートさせていかないときついのだが、あの映画のテンションのピークは中盤の中華料理屋のところだった。あそこで映画が終わっていれば(それは無理な話だが)あれは大傑作である。一方、この『ナインスゲート』では、気絶したジョニー・デップが気づいてみると車椅子が窓ガラスに衝突しているとか、エマニュエル・セニエがちょっとだけ奇怪な動きをするとか、タクシーの運転手がやけに元気のいい返事をするといった小細工が映画全体に織り込まれていて、テンションのベースラインが全体として上がっているのが身体的なレベルでわかるのだ。

 ジョニー・デップは、この映画のように、(あくまでも相対的に)まともで、(あくまでも相対的に)善玉である方がずっと魅力的だ。本作の彼は『スリーピー・ホロウ』の役柄に似た「探偵」。ときどき眼鏡を外す趣向は『断崖』と同じものを狙っているんじゃないか。『フランティク』のハリソン・フォードとか『アイズ・ワイド・シャット』のトム・クルーズには決して出せないチャーミングさだった。凄いのはフランク・ランジェラで、最後の方で、立ち居振る舞いまでもが変わるいきなりのボルテージの上がり方にびっくりした。レナ・オリンは楽しそうで、後ろ姿ではあれヌードを見せてくれる。エマニュエル・セニエは高貴な感じの「不思議ちゃん」。わけのわからない役柄にぴったり。

DVDメモ。日本版

メイキング。監督による音声解説。

 音声解説は聞かなかった。

2000/12/27

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