トゥルーマン・ショー

Truman Show, The

Peter Weir / Jim Carrey,Laura Linney,Noah Emmerich,Ed Harris / 1998

★★

中途半端な失敗作。たぶん腹が立つと思うので、見ることをお勧めしない

 ピータ・ウィアー監督。ジム・キャリーの演技の不自然さを、それはテレビ番組の中のキャラクターなんだという理由づけによってリアルに見せるという高等技。

 設定の面白さを考えると、そのポテンシャルを十分に掘りつくしていないという不満が残る。エド・ハリスが演じるプロデューサーの抱える問題も掘り下げ不足。最後にトゥルーマンがヨットに乗って海に出たとき、プロデューサーは嵐を起こすように命じるが、その理由が判然としないため、結果としてトゥルーマンがどのような危機を乗り越えたのかということもわからなくなってくる。

 番組へのTVコマーシャルの入り方など、それがTV番組であるということから生じるシチュエーションは面白いのだが、番組の外の現実世界の描写(プロデューサー役のエド・ハリスが絡むようなところ)との切り替えが目につくようになったあたりからうんざりしてきた。これはカメラの視点の中途半端さとも密接に関係している気がする。映画内TV番組用のカメラの視点と映画のカメラの視点の使い分けに一貫性がないため、個々のシーンの意味づけが曖昧になってしまうのだ。映画内TV番組用のカメラの視点はトゥルーマンを侵害している。一方、映画のカメラはトゥルーマンにとっての救済である。この論理的・倫理的意味合いを精密に映画のショットに関連付けないと、見ている方が混乱する。

 なお、この映画のジム・キャリーは悲劇的。彼の演技や存在そのものが、映画の中ではメタなレベルでしか取り扱えないものであるということを決定づけたというべきか。彼の演技が素直に活かされていた映画もないわけではないが(『マスク』などが思い浮かぶ)、ほとんどは浮いている。映画内のTV番組という設定(上で述べた映画内TV番組用のカメラの視点)は、この浮き方を全面肯定する仕組みなんだが、それによってかえってジム・キャリーの使えなさが明らかになったんじゃないか。だいたい、目ざめてからのトゥルーマンはぜんぜん面白くない。面白いのは疑いを持ち始めたけれども、完全には目ざめていない時期だけだ。

1999/10/4

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