ブエナ・ビスタ・ソシアル・クラブ

Buena Vista Social Club

Wim Wenders / Ry Cooder / 1999

遺跡探検隊

 ヴィム・ヴェンダース監督作品。1997年のグラミー賞を受賞したライ・クーダーのアルバムの、キューバ人ミュージシャンたちを扱ったドキュメンタリー映画。

 アムステルダムとカーネギー・ホールのコンサート、キューバでのインタビューと演奏、そしてニューヨークでのお上りさん映像が含まれている。WOWOWやNHK衛星放送で放映されているようなコンサート番組やコンサート・ビデオなどがいかに偉いかがよくわかる映画だった。その手のものでも、完璧に満足するというようなことはめったにないが、これに比べればマシ。上記2つのコンサートをまるまる収録し、「特典映像」としてごく普通に撮られたインタビューが付いているというような構成のDVDタイトルの方がずっと価値が高かったろう。また本作はそのようにミュージック・ビデオとして中途半端であるだけでなく、映画作品としてもはなはだ反動的である。

 そもそも私にはこの"Buena Vista Social Club"のコンセプトが気に入らない。キューバ人には自らの国の持つ宝を理解する能力がないが、西洋人にはある、というメッセージなんである。百歩譲って、「そのこと」がアルバムではわからなかったとしても、本作に収録されている「ニューヨークでのお上りさん映像」で事態は決定的となる。最近見たものでいえば、主人公がキューバから来たという設定の『ダンス・ウィズ・ミー』はもちろんのこと、革命前夜を描いた単なるロマンス映画『ハバナ』をさえも上回る鈍感さだ。

 もちろん、キューバ人ミュージシャンたちの演奏は素晴らしい。とりわけ素晴らしいのは、キューバで撮影された録音やリハーサルのショットである。しかし恐ろしいことに、この映画ではそれらの素晴らしい演奏をまともに聴かせてくれず、途中でぶったぎってインタビューのショットにつなげるか、コンサートで同じ曲を演奏しているシーンにオーバーラップさせるのである。キューバでの演奏に比べて、コンサート、とりわけカーネギー・ホールでの映像と演奏はそのパワーにおいて劣っている(と私は思う)のだが、この根本的なことに気づいていないディレクションと編集は、音楽映画の製作者としてのセンスに欠けていると言わざるをえない。

 ちなみにヴィム・ヴェンダースについて。彼は『都会のアリス』(1973)、『まわり道』(1974)、『さすらい』(1975)の頃は、ファスビンダーと並ぶドイツの2大映画監督だった。でも、この人は結局『ことの次第』(1981)がピークだったんじゃないかと私は疑っている。最近のはずいぶんと見落としているので確信はないのだが、本作のひどさにはかなり衝撃を受けた。

2001/1/17

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