13デイズ

Thirteen Days

Roger Donaldson / Kevin Costner,Bruce Greenwood,Steven Culp / 2000

★★★

堅実な政治映画

 監督のロジャー・ドナルドソンはあまりぱっとしない人だけれども(前作は『ダンテズ・ピーク』、その前は『スピーシーズ/種の起源』。個人的にはどちらもそこそこ好きだが)、1987年にケヴィン・コスナー主演の『追いつめられて』という佳作を作っている。これはケヴィン・コスナーにとって出世作となった映画だった。

 本作はキューバ・ミサイル危機の13日間の出来事を、ホワイト・ハウスを中心に描いた政治映画。ソ連側の内部の動きはまったく描かれず、観客はひたすらケネディ兄弟と、コスナーが演じる大統領特別補佐官ケニー・オドネルの3人の立場から、一連の事態の展開を見ることになる。この方針はかなり徹底していて、安易な映画ならば必ず描かれたはずの、オドネル不在の家庭の混乱というようなシーンはいっさい排除されている。まあキューバ近辺における軍事行動は描かれるんだが、それらは主人公たちが入手しえた情報であるという説明はつく。JFKにブルース・グリーンウッド、RFKにスティーヴン・カルプ。

 ここ10年ほど目につく、アメリカの自己正当化を目指す映画の1本であるように感じた。本作は事実の経緯をかなり忠実に再現した映画であるとされているが、登場人物たちの描かれ方にはもちろん政治的な意見が反映されている。それはいくつものレベルにおいて現れているけれども、個人的に最も強く感じたのは「強いリーダー」のイメージだった。一般には、JFKとRFKを理想化せず、弱さも併せ持つ人間味のある政治家として描いたと評価されているようだが、実際にここで理想化されているのは、軍や党からの圧力をかわし、世論調査に目を奪われず、あらゆる手段を使って自らの意思を通そうとする閉鎖的なインナー・サークルである。キューバ・ミサイル危機のところだけを取り出せば、これがうまく機能したことに正面から反論する余地はほとんどない。逆に言えば、この映画は反論の余地がほとんどないところのみを取り出しているわけで、より広いコンテキストから見たときの複雑な問題点からは意図的に目をそらしている。そして、これが「古き良き時代」の出来事だということが、映画の視点のバイアスの免罪符として使われている。

 なお、友人の話だと、この時期にキューバに配置された核ミサイルの使用の判断は、嘘のような話だけれども、現場の指揮官に任されていたらしい。だから、これは本物の危機だったとのこと。

2001/1/23

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