マイ・ハート、マイ・ラブ

Playing By Heart

Willard Carroll / Sean Connery,Madeline Stowe,Angelina Jolie,Ryan Phillippe,Gena Rowlands,Dennis Quaid,Gillian Anderson,Anthony Edwards,Jon Stewart,Ellen Burstyn,Jay Mohr,Nastassja Kinski / 1998

★★★★

崩壊寸前でとどまっている感じ

 監督・脚本のウィラード・キャロルはプロデューサー出身の人のようだ。なお、1980年にボブ・クラーク監督の『マイ・ハート マイ・ラブ』という映画があるが、あれは原題が"Tribute"だった。

 本作は、大勢の人間が絡む複数のプロットが並行して進み、最後の段階になってそれらのプロットのつながりかたが判明するという人間群像もの。この映画メモで取り上げているこのタイプの映画には、『マグノリア』『2 days トゥー・デイズ』がある。ただし、『マグノリア』と『2 days トゥー・デイズ』では、プロットがどのようにつながるかという関心が映画をドライブしていたのに対し、こちらではつながりかたそのものは意味を持たず、それが映画の中でどのように明かされていくかが興味の中心となる本格推理小説のような仕掛けになっている。このところ物語における謎の明かし方について考えることが何度かあったのだが、この映画は1つの明快な答えを与えてくれたように思う。細かくは別の機会に述べるけれども、要するに、最終的な謎明かしをする前に、受け手に徐々にヒントを与えていくことによって、大団円の効果が得られるということだ。この映画は、少なくともこの点に関する限り、きわめてエレガントに大団円の効果を出していたように思う。

 キャストはかなり豪華で、それぞれに十分な見せ場が用意されている。個々の見せ場は下手な演劇の脚本のようだが、俳優たちはそれらを演劇的に着実にこなしていく。特に老夫婦を演じるショーン・コネリーとジーナ・ローランズのプロットはチャーミングだ。結婚40周年を迎えようというカップルが、いまさらこんなソープ・オペラみたいなケンカと仲直りをやっていること自体が信じられないのに、この2人の俳優は危険きわまりないセリフにいともたやすく現実味を持たせてしまう。ジリアン・アンダーソンとジョン・スチュワートのカップルのプロットは、絶対にこの世にはありえそうな甘い話だが、アンジェリーナ・ジョリーとライアン・フィリップのカップルのプロットはそれに輪をかけて甘い。デニス・クエイドのプロットが、劇作家がお気に入りの俳優のために書いたような内容である一方、エレン・マースティンとジェイ・モーアの親子のプロットは、役者に難問を出しましたという感じ。マデリーン・ストウとアンソニー・エドワーズのカップルのプロットは、ほとんどストーリー上の意味がない。

 こうしたサブプロットたちが大団円で一本の糸としてよりあわされたときに、これらのサブプロットそのものではなく(というのも、上に書いたように、サブプロットそのものはいずれもほとんど説得力がない)、それぞれの役者たちの佇まいや振る舞いがどのような微妙な変化を見せるか、ということが、この映画の真骨頂なのだと思われる。そして私は、この大団円のなかで、それまでのサブプロットではいまひとつぱっとしなかった感じのジリアン・アンダーソン、デニス・クエイド、マデリーン・ストウの変わり具合に特に強い印象を受けた。どのような印象を受けたかを書くとネタバレになってしまうので、ジリアン・アンダーソンの背の低さに驚いたとだけ書いておこう。

 なお、この映画でアンジョリーナ・ジョリーとライアン・フィリップを見直した。

2001/1/30

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