イーナちゃんとテディベア

Liten julsaga, En

Asa Sjostrom,Mari Maten-Bas Wahlgren / Lisa Malmborg / 1999

★★★★

慎重に作られている子供向け映画

 スウェーデン映画。英語タイトルは"Little Christmas"。監督の2人の日本語表記はアーサー・ジェステムとマリ・マルテン=ビアス・ウォルグレン。主人公のイーナちゃんを演じるのはリサ・マルムボルグ。おそらく4〜5歳の子役で、同じぐらいの年代からせいぜい10歳ぐらいまでの子供を対象とする、60分弱の長さの完全な子供向け映画。「ロッタちゃん」人気に便乗して輸入され、ビデオ発売されたものだと思われる。

 クリスマスが近づいたストックホルムで、イーナちゃんが熊のぬいぐるみの「ノーノー」を地下鉄の駅で落としてしまう。このぬいぐるみが、いろんな人に次々と拾われてスウェーデン国内を転々とする。並行して、大好きなノーノーがいなくなってしまったことを悲しむイーナちゃんの生活が描かれ、果たしてノーノーは彼女の手にいつの日か戻ってくるのだろうか、というストーリー。とうぜん戻ってくる。

 凝ったところは何もない堅実な映画だが、子供向けの映画としてしっかりと考えられており、この手のものを長らく見ていないこともあって大いに好感を抱いた。とりあえず主人公のイーナちゃんがむちゃくちゃ可愛いが、(同年代の子供を対象にした映画であるだけあって)コケティッシュなところを強調する演出はいっさいなく、「演技」というほどのこともやっていない。それよりも不覚ながら、私ははるか北の雪国まで旅をするノーノーの運命に胸がドキドキしてしまった。このぬいぐるみは、ごく数ヶ所で首を傾げるなどのぎごちないアニメーションがあるだけで、あとは人の手から手へと渡され、その過程でかなり厳しい状況にも直面する。受動的ラッシーとでも言うべきか。そのノーノーがクリスマスの日にイーナちゃんのところに帰ってくる経緯は実にすがすがしく感動的だ。これを見た子供はかなり感情移入できるだろう。

 イーナちゃんの側では、再婚家庭であること、大きな兄との初めての出会いを前にした緊張、クリスマスの日の一族の集まり、ノーノーの側では、地理の勉強、郵便の仕組みの勉強、人々の善意などなど、教育的な配慮が随所にある。思えばこういう感じの短篇を、子供の頃にはよく見ていたはずだ。

2001/2/2

IMDBの該当ページへ

検索ページへ 目次へ 前へ 次へ