トイ・ストーリー2

Toy Story 2

John Lasseter / Tom Hanks,Tim Allen,Joan Cusack / 1999

★★★★

これは素晴らしい

 『トイ・ストーリー』の4年後の続篇。オモチャとしてのアイデンティティの危機に悩むウッディが、自らの出生の秘密を発見して揺らいだところを、友人のバズ・ライトイヤーが助けるというお話。

 『トイ・ストーリー』は、初のフルCGアニメーションとしての重要性はともかく、あまり面白い作品ではなかったが、この続篇はかなり楽しめた。ただし、それはエンディングのクレジットに重ねて流される「擬似NG集」が象徴しているように、実写の映画に近づいた結果としての効果であるように思われた。今回出てくる犬や人間(悪玉の男)は、アニメーションのキャラクターというよりも、実写の映画に挿入してもおかしくないようなリアルさを指向したタッチである。その他、オモチャの人形たちが活躍する外部環境のリアルさもあって、この映画はリアルな世界の中でアニメーションのキャラクターである人形たちが活躍する『ロジャー・ラビット」』や『スチュアート・リトル』のような映画に似てきている。

 この映像上の効果は、脚本上の仕掛けとも連動している。たとえば、ウッディを助けるために住み慣れた部屋を出たオモチャたちは、体重が軽いためにオモチャ屋さんの自動ドアを開けることができない。つまり、この『トイ・ストーリー2』には、オモチャたちがノーマルな物理法則が支配する世界の中に存在しているという前提があって、普通の「アニメ」にあるような荒唐無稽なアクションは極力抑えられているように思える(『GO! GO! ガジェット』の鏡像のような関係だ)。そんな気がしないかもしれないけれども、前作の『トイ・ストーリー』から続けて見ると、明らかに製作上の方針に変化があったことが見て取れる。前作のクライマックスのロケットのような小道具は出てこない。

 それに伴い、主人公のオモチャたちが経験する危機とその解決策もリアルなものになった。前作の最大の危機が「隣に怖い少年が住んでいる」と「持ち主一家の引っ越しのトラックに乗り遅れる」というものだったのに対し、今回の危機はかなり本格的な人間ドラマである。その解決策も、前作ほどの荒唐無稽さがない普通のアクション映画だ。

 しかし、この路線をとるんであれば、『スチュアート・リトル』のような実写へのはめ込みの方が安上がりで効果的だろう。この路線の映画をフルCGで作る意味がどこにあるかということは、今後そうとう大きな問題になりそうな気がする。たとえばオモチャの人形たちが交通量の多い道路を渡るシーンがあるけれども、ここでの派手なカー・アクションは実写との組み合わせの方がずっと迫力があったはずだ。CGでフォトリアリスティックなトラックや車を描けたとしても、それがごくノーマルな文脈でしか使われないのであれば、「きれいに描けていますね」という感慨しかなく、カー・アクションの本質的な意味、つまりごく平凡な意味での「すごいことやってるな」という驚きはまったくない。

 将来、これに本当に驚ける人間が出現する可能性は十分考えられるけれども(われわれがカー・アクションに胸をときめかせるのは文化的刷り込みであり、CGの車が演じるアクションに胸をときめかせる世代が出てくることは考えられる)、それはまだ先のことなんではないかと思う。

 なお、ウッディが過去に出演していたTVシリーズの相手役ジェシーの声を担当しているジョーン・キューザックが素晴らしい。ジョーン・キューザックという人は、その容姿のせいで演じる役柄があるていど固定されているという感があるのだが、そういう制約がないとこういうこともできるわけだ。ウッディの役のトム・ハンクスはそのまんまなんだけど(ただし若い頃の)。

2001/2/23

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