英雄の条件

Rules of Engagement

William Friedkin / Tommy Lee Jones,Samuel L. Jackson,Ben Kingsley,Blair Underwood,Anne Archer,Guy Pearce,Philip Baker Hall,Bruce Greenwood / 2000

★★★

そこそこ良くできているが、ストーリーがちょっと凄すぎる

 ウィリアム・フリードキン監督の戦争映画+法廷ドラマ。トミー・リー・ジョーンズとサミュエル・L・ジャクソンはベトナム戦争でともに戦った海兵隊の士官。ジョーンズは負傷して弁護士となり、ジャクソンはそのまま海兵隊の「実務」を続ける。そして現代のイエメンで、米国大使館から大使とその家族を避難させるというミッションの過程で、80人ほどのイエメン人を虐殺したことが軍事裁判において裁かれることになり、ジョーンズがその弁護にあたる。

 冒頭のベトナム戦争のシーン、イエメンの大使館のシーン、そしてジョーンズとジャクソンの殴り合いのシーンの3つのアクション場面は、(個人的にはあまり好みではないにせよ)かなりよくできているように思う。しかし映画のかなりの時間を占める法廷ドラマの部分が、法廷の場面をアクション映画のように撮ると緊張感が増すだろうというありがちな勘違いに陥っており、けっこう厳しい。それ以前に、この映画のストーリーがあまりにタカ派すぎて見るのがしんどかった。『マーシャル・ロー』の項で、あの映画が「勘違いPC映画」であると書いたが、完全なタカ派映画よりも勘違いPC映画の方がまだマシだということを忘れていた。本作は、1990年代に入ってからやたら目につくようになったアメリカの自己弁護映画の1つである。

 『大列車作戦』の項で、ジョン・フランケンハイマーは実は70年代で終わっていた可能性が高いと書いたが、フリードキンの場合は、80年代に入っても『L.A.大捜査線/狼たちの街』(1985)や『C.A.Tスクワッド/対ゲリラ特別襲撃班』(1986)、『C.A.T.スクワッド2/国際テロ"パイソン・ウルフ"の挑戦状』(1986)などで現役だったという印象がある。だが、今回フィルモグラフィーを改めて見てみると、1990年代に入ってからはTVムービーや日本未公開作品が多く、やはり下降線のようだ。最近の作品を見ていないので確信はないが、もしかしたらこの人は『フレンチ・コネクション』(1971)と『エクスシスト』(1973)だけの人として記憶されることになるのかもしれない。

 トミー・リー・ジョーンズは実によい。このところマッチョな役柄が多いが、これだけデリケートな役もこなせる。サミュエル・L・ジャクソンは相変わらずの大根。アクション・シーンでわかったことだが、この人はまともに走れない。その他、大使にベン・キングズレー、その妻にアン・アーチャー(美しい)。検察側のガイ・ピアースは、頑張ってはいるが、前述のように法廷シーンが全般的にダメなので気の毒な役回りだ。証拠を隠蔽する大統領国家安全保障担当補佐官を演じるブルース・グリーンウッドは、ずいぶんと貫禄がついてきた。

DVDメモ

メイキング、予告編、監督による音声解説トラック

 メイキングでのフリードキンのインタビューを見ると、この映画のメッセージに完全に賛同していることがわかる。解説トラックは聞かなかった。

2001/3/29

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