ラスト・デイズ・オブ・ディスコ

Last Days of Disco, The

Whit Stillman / Chloe Sevigny,Kate Beckinsale,Christopher Eigeman,Mackenzie Astin,Matt Keeslar,Matt Ross,Tara Subkoff,Robert Sean Leonard,Jennifer Beals / 1998

★★★★★

ツボにはまった

 監督のホイット・スティルマンは『メトロポリタン』(1990)と『バルセロナの恋人たち』(1994)の人(どちらも未見)。本作は1998年の作品だが、日本では劇場未公開。1980年代初頭のマンハッタンのディスコに通うヤッピー予備軍の若者たちを主人公とする、1980年代風俗映画なのだが、これが何というかエリック・ロメールとか(初期を除く)ウディ・アレンのような会話劇をインテリジェントにしたような、実に奇妙な映画だった。これに5点を付ける人は100人に1人ぐらいしかおらず、100人に80人は、5点を付ける人が世の中に存在するということを想像もできないだろうと思うが、私のツボには見事にはまった。脱帽。

 これはある種の日本映画が見習うべき映画であるとも思う。ぜんぶがぜんぶ、こんなものになったら大変なことになるけれども、たとえば棒読み気味のセリフのキャッチボールをどうやって面白く見せるか、洒落たセリフを役者にどう言わせるか、役者が全員棒立ちしている絵をどうやってつなげるかなどの点で勉強になるのではなかろうか。あと、場面切り替えのときの音楽の処理の仕方が見事。

 主人公の女性を演じるクロエ・セヴィニーは『パルメット』の娘役の人。あの映画と同じ年に作られているが、こっちの方がずいぶんと大人びている。普通の意味で魅力的とはなかなか言いがたい鈍い感じの女性を見事に演じ、かなり奇怪な展開をするストーリーの焦点としての役割をちゃんと果たしている。その友人のケイト・ベッキンセイルは、イギリス人でありながらアメリカのそれっぽいアクセントをちゃんとこなしているということでIMDBでの評価が高い。おそろしく嫌な女なんだが、バカらしくて可愛いというボーダーラインをしっかりと進んでいる。それの男版が、ディスコのフロア・マネージャ(黒服というやつですな)を演じるクリストファー・エイグマン。この映画では、この2人に一番面白いセリフが割り当てられていて、2人も平然とした顔でとんでもないバカなことを言う。タランティーノとの違いは、役者のセリフの喋り方に清潔感があって、それだけに異様であるということだ。セリフの内容と喋り方の両方が異様だと、効果がなくなるんである。検事補を演じるマット・キースラーは『スクリーム3』に出ていたようだが記憶になし。このあと出演作が猛烈に増えている。広告会社勤務のマッケンジー・アスティンは、一番普通の、1980年代の青春映画に出ていてもおかしくないような役柄だが、そういうキャラクターに対する視線は1990年代的だ。3人目のルームメイトを演じるタラ・サブコフは、なんと大傑作『犯罪心理捜査官』"When the Bough Breaks"(1993)の少女の役がデビュー作。その他、ロバート・ショーン・レナードとジェニファー・ビールズがちょっとだけ出てくる。ジェニファー・ビールズにはちょっと驚いた。

2001/4/8

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