スリー・トゥ・タンゴ

Three To Tango

Damon Santostefano Damon Santostefano / Matthew Perry,Neve Campbell,Dylan McDermott,Oliver Platt / 1999

★★★★

よくできている佳作

 監督のデイモン・サントステファーノは1992年に『ミュータント・ハンド』"Severed Ties"という作品がある。未見だが、エルケ・ソマーとオリヴァー・リードが出ていて興味をそそられる。メアリ・スチュアート・マスターソンと結婚しているのは趣味の良さの現われだと思うがどうか。

 大会社社長のディラン・マクダーモットが、マシュー・ペリーをゲイだと勘違いし、愛人のネーヴ・キャンベルの監視を依頼する。建築家としての仕事を受注したいと思ったマシュー・ペリーは依頼を受け入れるのだが、やがてゲイであるという風評が広がり、ネーヴ・キャンベルへの恋心もあって苦しむという、『アパートの鍵貸します』と『イン&アウト』の組み合わせ。キャンベルは実際にペリーのアパートに転がり込んでくる。政治的な正しさを追求して、訳のわからない筋になってしまった『イン&アウト』とは異なり、こちらは政治的な正しさを(かなり)犠牲にして、一貫性のある古典的なストーリーにしている。クライマックスの、自分が「ゲイでないこと」をカミングアウトするところなどは、何を呑気なことを言ってるんだと思う人も少なくないと思われる。しかし、この要素に目をつぶれば(実際にはそれはかなり難しいことだと思うが)、この映画は非常によくできたロマンチック・コメディだ。

 この3人の主役格は「TV役者」と言っていい。マシュー・ペリーは『フレンズ』で人気が出て今に至る。ディラン・マクダーモットは映画出身だが『プラクティス』で人気を博した(デヴィッド・E・ケリーの伝記『David E. Kelley』に言及あり)。ネーヴ・キャンベルは完全にTV出身の役者だが、B級映画にちょこちょこと出て、『スクリーム』で完全に映画女優になった。このTV役者たちを、ペリーのパートナーで、本当にゲイであるという設定のオリヴァー・プラットが補助するという構図になっている。

 本作のマシュー・ペリーとネーヴ・キャンベルは物凄く良い。私は実はどちらにもあまり関心を抱いていなかった。『フレンズ』は過大評価されていると思うし、ネーヴ・キャンベルにはどうもいじけた役ばかりやっている人という印象があった。しかしこの映画のマシュー・ペリーは、TV的と言ってもいいのだろうけれども、肉体的なギャグを含めたオーバーアクト気味の演技として最高レベルのものを見せてくれる。ネーヴ・キャンベルは、大金持のディラン・マクダーモットに囲われている芸術家で、マシュー・ペリーが恋をする相手という非常に難しい役柄に説得力を持たせている。これは驚異とでも言うべき快挙。この2人がこれだけ良ければ、話が少々変でも、映画は快調に進んでいく。マシュー・ペリーは今後のロビン・ウィリアムズ化が怖いが、ネーヴ・キャンベルについてはファンになることに決めた。

 ディラン・マクダーモットは、ジェームズ・ボンドを演じた経歴がないのに、ジェームズ・ボンドを演じた俳優がやるようなコミカルな演技をさせられている。まだ貫禄不足。オリヴァー・プラットは超安定だが、少し危険なにおいもする。

2001/4/21

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