GIジェーン

G.I. Jane

Ridley Scott / Demi Moore,Viggo Mortensen,Anne Bancroft / 1997

★★

それほど悪くはない映画だが、根源的なところで大きな問題を抱えている

 リドリー・スコット監督、デミ・ムーア主演の、軍隊もの。『素顔のままで』でストリッパーを演じたデミ・ムーアが、この映画では頭を剃って兵士役を演じたということで話題となった。

 なんだかんだいって、デミ・ムーアのそのような挑戦は高く評価しなければならないと思う。『素顔のままで』のストリッパーも、この映画の兵士も、あまり彼女には似合っていない。ストリッパーにしては色気がないし、兵士にしてはタフさが足りない。しかしそのような特性を言い訳に使わず(ゴールディー・ホーンの『プライベート・ベンジャミン』のようにせず)、色気のあるストリッパー、タフさを備えた兵士というストーリー上の要請に真っ向から挑戦していくのは、やはり正道と言わざるをえないのではなかろうか。

 この映画、リドリー・スコットが監督しているのだが、見ている間も、見終った後しばらくも、トニー・スコット監督だと思っていた。それぐらい、この映画にはリドリー・スコット的な映像がない。そのことがプラスに働いているかというとそういうわけでもなく、女兵士が男に混じって頑張っていますという話から予想されるていどの映画になっている。

 しかし、最後の方になって、映画の政治的主張には極力ニュートラルであろうとしている私もさすがに怒りを感じるようなエピソードが出てきた。デミ・ムーアが参加している海軍のSEALのひよっこ部隊は、いきなり実戦に投入される。このエピソードには、それまでは微妙な立場に置かれていたデミ・ムーアが完全に兵士として独り立ちするという物語上の機能が持たされている。しかしこれがまたひどい設定で、リビア国内に落下したアメリカの人工衛星を回収しにいった部隊を、リビア沿岸で援護するのだけれども、何も悪いことしていないリビア人をどんどん殺しながら、アメリカ人は一人も死ななかったからハッピーね、という話なのだ。西洋のフェミニストはときどき恐ろしい人種差別主義者の顔を覗かせることがあるのだが、この映画もそのような資質がもろに現れた例の1つだと思った。

1999/10/21

IMDBの該当ページへ

検索ページへ 目次へ 前へ 次へ