54 フィフティ・フォー

54

Mark Christopher / Ryan Phillippe,Salma Hayek,Neve Campbell,Mike Myers / 1998

★★

ちょっと焦点を絞り切れていないか

 監督のマーク・クリストファーはメジャーなものはこれが初めてのようだ。ニューヨークの有名なナイトクラブ「54」の絶頂期から衰退までを、ニュージャージーから出てきた若者の目を通して描く。時期的には『ラスト・デイズ・オブ・ディスコ』とぴったり重なるのだが、あちらがヤッピー予備軍を主人公としていたのに対し、こちらは上昇志向をギラギラさせている貧しい若者が主人公である。あちらがエピックものとしては身を躱していたのに対し、こちらは正面からぶつかっている。同じような題材を扱っていながら、『ラスト・デイズ・オブ・ディスコ』が好きな人とこの映画が好きな人は重ならないような気がする(両方ともダメだという人はいるだろうが)。

 要するにごく普通の意味での青春映画。背景が違うからとうぜん感触もまったく違うけれども、1970年代の日本製青春映画を思い起こさせるような「都市で失った純情」路線である。『真夜中のカーボーイ』さえをも思い出したことを考えると、1990年代末に作られた1980年代初頭を扱っている1970年代映画というラベルを貼ってよいかもしれない(ただし『真夜中のカーボーイ』は1969年)。個人的には「次いこ、次」という感じなんで、この時期にこういうものを見るのは少しつらい。

 主人公を演じるのはライアン・フィリップ。1960〜70年代にダスティン・ホフマンが多く演じた人物像を強く連想させる。ただしダスティン・ホフマンとまったく違うのは、彼が映画の多くの部分を上半身裸で過ごすハンサムな青年であることだ。ヒロインにサルマ・ハエック、準ヒロインにネーヴ・キャンベル。伝説的なクラブ経営者スティーヴ・ラベルをマイク・マイヤーズが演じている。

 上に書いたように、『ラスト・デイズ・オブ・ディスコ』が巧妙にディスコ・ムーブメントにコミットすることを避けているのに対し、こちらは真っ正面からぶつかっている。そのせいでかえって、こちらの方がお説教じみた内容になっているのは興味深いことだ。本作はスキャンダラスな題材を多く扱っているけれども、『ラスト・デイズ・オブ・ディスコ』に比べると根本的に上品で誠実である。そのことが映画の面白さを必ずしも保証しないのが難しい。

2001/4/25

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