シャンハイ・ヌーン

Shanghai Noon

Tom Dey / Jackie Chan,Owen Wilson,Lucy Liu,Brandon Merrill,Xander Berkeley / 2000

★★★★

面白い

 監督のトム・デイはコマーシャル・フィルム出身の人で、これが映画のデビュー作。これが1作目というのは凄い。『ラッシュ・アワー』に続く、ジャッキー・チェン主演のアメリカ映画。19世紀を舞台にした西部劇である。見終ってしばらくして気づいたのだが、このタイトルは『真昼の決闘』"High Noon"のパロディだろう。ジャッキー・チェン演じる近衛兵は北京出身なのだが、アメリカ西部で"Shanghai Kid"としてお尋ね者となる。で、「俺は上海から来たんじゃないのに」というセリフをわざわざ吐くところからして、このアイデアがタイトル先行であり、後から脚本で理屈付けしたということがわかる。映画を見ればわかるが、この作品には西部劇映画に関する言及と引用が満載されており、しかもそれぞれに捻りが入れられている。「北京から来たのに上海キッド」というていどの捻りが。

 ジャッキー・チェンのアクションを求めて見ると少し失望するかもしれない。最初の方の、列車の上でのアクションにSFXが使われているのにはがっかりした(あのアクションをマジでやれとは言わないが。死ぬから)。しかし本作には西部劇(およびそのパロディ)としての魅力がちゃんと備わっている。映画としての作りは『ラッシュ・アワー』よりもはるかに上等だし、西部劇の現代的パロディとしては『ワイルド・ワイルド・ウエスト』よりもずっとクレバー。脚本に詰め込まれたアイデアが十分に実現されていない箇所が多々見られ、映画全体でマクロに見るとちぐはぐしているが、ミクロなレベルでうまく行っているところは非常に良い。一番感動したのは、牢屋からの脱出のシーンで、壁をもぎとっても、そこからは脱出できないというところ。単なる引用で終わらせないという決意がある。

 ジャッキー・チェンのアウトローの相棒を演じるオーウェン・ウィルソンには、『アナコンダ』『アルマゲドン』『ホーンティング』などの出演作があるが、本作でスターの仲間入りをしたのではなかろうか。コミカルな演技を下品にならずにこなしていて、非常にチャーミング。その代わりに、お姫様を演じるルーシー・リューとインディアンの娘を演じるブランドン・メリルが完全な添え物になってしまっている。ザンダー・バークリー演じる保安官の役名はVan Cleef。

2001/5/2

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