ウィットネス・プロテクション 証人保護

Witness Protection

Richard Pearce / Tom Sizemore,Mary Elizabeth Mastrantonio,Sean Hatosy,Skye McCole Bartusiak,Forest Whitaker / 1999

★★★★★

これは傑作

 HBOのTVムービー。監督のリチャード・ピアースは『カントリー』(1984)、『ノー・マーシイ/非情の罠』(1986)と注目すべき作品を続けて作った人だが、その後あまりぱっとしていなかった。どうやらTVムービーやTVシリーズの仕事が多かったようだ。

 マフィアの経理の仕事をしていたトム・サイズモアが裏切りにあい、FBIの証人保護プログラム"witness protection program"の下に入る(実際にプログラムを手がけるのはFBIではなく連邦保安局のようだ)。映画のほとんどは、このプログラムが実施される人里離れた建物の中で進行する。映画や小説の中では、誰かがいったん証人保護プログラムの管理下に入ると、そこでその話は終わる。また、このプログラムで身元を変えて隠れ住んでいる人を追いかけるというストーリーはある。しかしその途中のプロセス、つまり実際に証人保護プログラムがどのように実施されているのかという部分が描かれることはめったにない(トマス・ペリーのジェーン・ホワイトフィールド・シリーズ(『Blood Money』など)は、これをプライベートでやっている女性を主人公としている)。この映画は、このプログラムについての取材をベースにした現実に即した話のようだ。

 おそらく現実のエピソードからとったのだろうリアリスティックな脚本のテーマは、「証人保護プログラムに入ると家族が多大なプレッシャーにさらされる」というもの。本作のトム・サイズモアは、これまで見たなかでは一番といっていいほどの名演を見せる。その妻のメアリー・エリザベス・マストラントニオは相変わらず素晴らしいのだが、42歳という年齢の割には老けて見えるのが気にかかる(あくまでもハリウッド女優として、だが)。息子のショーン・ハトシーは『パラサイト』などに出ている若手。難しい役を無難にこなしている。そして、『パトリオット』『サイダーハウス・ルール』の子役スカイ・マッコール・バートシアックが娘役として強烈な存在感を出している。「ただ者ではない」感がいっそう強まった。この家族を担当する連邦保安官がフォレスト・ウィテカー。

 密閉された空間の中での心理劇として成功しているというだけでも珍しいが、それ以上に驚いたのは、「家族の絆」を描こうとする映画に実に久しぶりに感動してしまったことだった。地味で、とりたてて凝ったところもない映画だけれども、成功することがめったにないジャンルで成功してしまっていることに敬意を表して★5つ。

2001/5/30

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