犯罪心理捜査官

When The Bough Breaks

Michael Cohn / Ally Walker,Martin Sheen,Ron Perlman,Tara Subkoff / 1993

★★★★★

やはり傑作

 「お勧め映画」で推奨し、この映画メモでも何度が言及している大好きな作品だが、DVDを買って再見した。ちなみに『犯罪心理捜査官2』は「続篇」ではあるが、監督も主演女優も別人のTVムービーである。『犯罪心理捜査官 最終章』『犯罪潜入捜査官』は、日本だけで似たタイトルとビデオ・パッケージを付けている、まったく関係のない作品。『最終章』は、1つの映画として悪くない出来のオーストラリア映画。

 『犯罪心理捜査官2』の項で、この映画の美点と続篇のダメな点を比較しているので参照してもらいたい。監督・脚本のマイケル・コーンには、他に『ダイ・ハード』の真似をした『インターセプター』、グリム童話に「忠実」な白雪姫の『グリム・ブラザーズ/スノー・ホワイト』があり、いまのところこれで全部である。

 1996〜1999年にかけて、明らかに本作にアイデアを得たと思われるTVシリーズ"Profiler"が同じアリー・ウォーカーを主役として作られた。私はエピソードを2つ3つ見ただけだが、基本的に通俗的なTV番組のように思われた。

 本作の子役であるタラ・サブコフの成長した姿を、『ラスト・デイズ・オブ・ディスコ』で見ることができる。主人公の女性2人の3人目のルームメイトである。拍子抜けするぐらい普通の大人になっているが、まあそりゃそうだろう。

 殺人犯人を演じて強烈な印象を残したロン・パールマンは、『人類創世』(1981)がデビュー作という笑える経歴を持つ。その風貌から出演作にかなりの制約があるが、この後で特に好印象を残した映画を1本挙げれば『エイリアン4』(1997)だろうか。

 この映画のアリー・ウォーカーはFBIではなく州警察から派遣された捜査官だった。「お勧め映画」の当初の記述は間違い。

 見直してみて、この映画は傑作だと改めて思った。ストーリーのロジックがしっかりしておらず、エンディングまで行っても未解決の問題が山積されていることが欠点だと思う人もいるようだが、私にとってはこれは長所である。最後に名探偵が関係者を一堂に集めて謎解きをするというようなものは(パロディとしてはともかく)論外だとしても、映画の前半で仕掛けられた謎を解説するためだけの目的に挿入されるショットやシーンほど興をそぐものはない。また、この映画では主人公を含む登場人物たちが何を考え、何を感じているのかが十分に描写されているとは言いがたい。しかし、アリー・ウォーカー演じる主人公の「動機」を解説し、捜査の過程でともに働く人々とのインタラクションを細かく描いた『犯罪心理捜査官2』と比べれば、こちらの方の戦略がいかに優れているかがわかるものと思う。映画の中で映像として説明されるかどうかはともかく、とにかく(映画に描かれる)現実はラスト・シーンまで行ったのであり、その場面ではアリー・ウォーカーもマーティン・シーンも能面のような顔をして出てくるだけだが、そこに至るまでにはそれなりのプロセスがあったということを感じさせることに成功している。

 アリー・ウォーカーの存在感はやはり凄いもので、地下水道でnervous breakdownを起こすシーンを筆頭に、映画全体を通して、理由は定かでないものの、やたらに苛立っている女性捜査官の像にリアリティを持たせている。また、マーティン・シーンの貢献も特筆すべきだ。決して出演時間は長くないし、役者としての見せ場はほとんどないと言ってよいが、その存在感は名優のそれと呼ぶのにふさわしい。

2001/6/6

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