デーヴ

Dave

Ivan Reitman / Kevin Kline,Sigourney Weaver,Frank Langella,Kevin Dunn,Ben Kingsley,Charles Grodin,Ving Rhames,Bonnie Hunt,Laura Linney / 1993

★★★★★

大傑作

 アイヴァン・ライトマン監督作品。「お勧め映画」で勧めているお気に入りの映画だが、今回DVDを購入して再見した。たしかに良くできている映画だったので、★5つにアップグレードした。

 アイヴァン・ライトマンはプロデューサー出身で、監督業に乗り出してからも製作作品が多い。監督作品だけを抜き出してみると、次のようになる。『ミートボール』(1979)、『パラダイス・アーミー』(1981)、『ゴーストバスターズ』(1984)、『夜霧のマンハッタン』(1986)、『ツインズ』(1988)、『ゴーストバスターズ2』(1989)、『キンダーガートン・コップ』(1990)、『デーヴ』(1993)、『ジュニア』(1994)、『ファーザーズ・デイ』(1997)、『6デイズ/7ナイツ』(1998)。このなかで良いのは『夜霧のマンハッタン』と『デーヴ』の2作。『パラダイス・アーミー』がかろうじて「可」で、あとは全部「不可」である。ちなみにこの打率の低さはプロデュース作を数に入れるといっそう悪化するので、ライトマンの名前は駄作のインディケータとしてきわめて信頼性が高い。それだけに、『夜霧のマンハッタン』と『デーヴ』の2本の出来の良さが大きな謎なのである。

 ケヴィン・クラインが大統領と大統領にそっくりな無名の男の一人二役を演じるコメディ。フランク・ランジェラの演じる主席補佐官とケヴィン・ダンの演じる広報官が、大統領が脳卒中で倒れたのを利用して、そっくりさんを通して政治を支配しようと試みる。ファースト・レディにシガーニー・ウィーヴァー、事情を知っているシークレット・エージェントにヴィング・レームス、そっくりさんの友人の会計士にチャールズ・グローディン。これらの人々が、いずれもキャリアの中で最高レベルの演技を見せている点が、『アメリカン・プレジデント』とよく似ている。

 やはり『アメリカン・プレジデント』と同じく民主党バイアスのかかっている映画だが、こちらの方は深刻な政治的争点を扱うことを回避している(漠然とした完全雇用政策とホームレス救済策への言及があるのを除けば、この大統領は野球の始球式に出たり、工場を見学したりするだけだ)。そもそもこの映画の悪役は、大統領とその取り巻きの主席補佐官と広報官なので、bi-partisanな観客を惹きつけることができる。ここのところは非常にクレバーであり、多様な人々によるカメオ出演が可能になったのもこのような配慮のおかげだと思われる。つまり、この映画が政治的に素朴なのは、計算された長所であって短所ではない。

 この構成には、脚本のゲイリー・ロスの貢献が大きかったと思われる。この人はもともとワシントン世界の住人で、bi-partisanなカメオ出演が実現できたのは、この人の個人的なコネクションのおかげらしい。ちなみにこの人は『カラー・オブ・ハート』で監督デビューした。

 なお今回発見したのだが、ボニー・ハントがホワイトハウスのツアー・ガイドの役で出ている。ほんの数ショットに小さく映るだけだけれども、声はたしかにボニー・ハントのもので、コメディエンヌとしての力量が発揮されている(と言うほどのものでもありませんが)。ちなみに彼女が主演した『ベートーベン』と『ベートーベン2』は、アイヴァン・ライトマンの製作作品。また、『トゥルーマン・ショー』でヒロインを演じたローラ・リニーが大統領秘書の役で出ている。

 一番笑えたギャグは、"Larry King Live"に出演するオリヴァー・ストーン。「たしかに大統領の顔つきが、発作の前後で変わっている」と陰謀説を述べるオリヴァー・ストーンに対し、ラリー・キングが「やれやれ、またかよ」と突っ込む。

2001/6/20

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