8月のメモワール

War, The

Jon Avnet / Elijah Wood,Kevin Costner,Mare Winningham,Lexi Randall / 1994

★★★★

美しい子供映画

 ジョン・アヴネット監督の落ち穂拾い。監督作品としては『フライド・グリーン・トマト』(1991)の次、『アンカーウーマン』(1996)の前ということになる。その次は『レッド・コーナー/北京の二人』(1997)。

 1970年のミシシッピー州の田舎町を舞台に、父のケヴィン・コスナー、母のメア・ウィニンガム、娘のレクシー・ランドール、息子のイライジャ・ウッドの4人家族を描く家族/子供映画。原題の"The War"には、ケヴィン・コスナーが経験したベトナム戦争と、子供たちが作ったツリー・ハウスを巡っての近所のいじめっこたちとの戦いの2つの意味が込められていると思われる。『フライド・グリーン・トマト』に見られた説話法上のアンバランスさがない正統的な語り口で、全体としては『フライド・グリーン・トマト』よりも気に入った。

 1970年という時期、ミシシッピー州という場所、ベトナム帰還兵の父親といった要素にはそれなりの意味が持たされているけれども、この映画の焦点はもっと普遍的な、子供たちの生活に合わされている。その中で、イライジャ・ウッド(1981年生まれ)とレクシー・ランドール(1980年生まれ)に限らず、すべての子供が生き生きと描かれていて楽しい。両親のケヴィン・コスナーとメア・ウィニンガムは脇役であり、出しゃばらない上品な存在感を残している。特にケヴィン・コスナーはキャリアの中での頂点の1つなのではないかと思う。私はこの人にはグレゴリー・ペックやゲーリー・クーパーのような大根役者としての存在感を感じる。

 イライジャ・ウッドが、ロバート・デニーロの小型版と呼ぶのがふさわしいような名演技を見せる。こんな子供がいるわけないけど、いざこうやって見せられると納得するしかない、というタイプの演技。レクシー・ランドールは歯並びが悪いのが珍しく、かえってチャーミングだ。彼女に限らず、この映画には歯並びとか容姿がハリウッド子役的でない子供が大勢出演していて面白い。

 『フライド・グリーン・トマト』と同じく、撮影監督のジェフリー・シンプソンがアメリカ南部をノスタルジックな色調で捕えている。悪ガキ一家の縄張りであるジャンクヤード、湖、そして貯水塔などの風景は、森の中のツリー・ハウスとともに強い印象を残した。

2001/6/27

IMDBの該当ページへ

検索ページへ 目次へ 前へ 次へ