名犬ラッシー

Lassie

Daniel Petrie / Tom Guiry,Helen Slater,Jon Tenney,Frederic Forrest.Richard Farnsworth,Michelle Williams / 1994

★★★★

非常によくできたファミリー映画

 ダニエル・ペトリ監督作品。日本では劇場未公開。コリーの「ラッシー」が活躍するファミリー映画。

 似たようなポジションの『フリッパー』を見てがっかりしたばかりということもあって、期待せずに見始めたのだが、いきなり『サウンド・オブ・ミュージック』を髣髴とさせる空撮があり(ジュリー・アンドリュースの代わりにラッシーと羊の群れがいる)、物語の主役となる一家の描写に移ると、幼い妹がTVで『家路』を見ているところに人生に苛立っているらしき兄がやってきて「こんなもの見てないで、いいかげん大人になれ」と諭すなど、快調な滑り出し。その後、全体の2/3ほどは見事な進行だった。クライマックスとなる事件の処理が少し弱いが、子供用映画としては許容範囲内だろう。ひねったところのない、古典的な筋書きを平凡に描写することに専念している、クオリティの高いファミリー向け映画だった。ダニエル・ペトリじいさん、恐るべし。

 主人公の少年を演じるトム・ガイリーは、その後成長して『U-571』に出演しているようだ。役名はTed "Trigger" Fitzgeraldだが、残念ながら記憶にない。イライジャ・ウッドのような怖さとか凄味のない、非常に素直な名演技だった。父親役にジョン・テニー(『愛さずにはいられない』でマシュー・ペリーの親友役、『ミュージック・フロム・アナザー・ルーム』でグレッチェン・モルの婚約者役)、母親役にこれまた懐かしいヘレン・スレイター。祖父役にリチャード・ファーンズワース、隣の悪い親父にフレデリック・フォレスト。少年といい感じになる少女のミシェル・ウィリアムズは、この翌年に『スピーシーズ』で、ナスターシャ・ヘンストリッジの少女期を演じている。その後はTVが多いようだ。

 脚本に『カラー・オブ・ハート』のゲーリー・ロスがクレジットされている。『デーヴ』の脚本の次の仕事ということになる。この人がこの映画にどれだけの寄与をしたのかは不明。

 なお、『フリッパー』と同様に、世代間ギャップを表すのに音楽が使われている。『フリッパー』のイライジャ・ウッドはRed Hot Chilli Peppersのコンサートに行きたいと思っているが、叔父のポール・ホーガンはブライアン・ウィルソンがいまだに好きである(ただし最後の方で、「オレも、ビーチボーイズほどじゃないが、チリ・ペッパーズも好きだぜ」という和解の言葉が発せられる)。こちらの方では、病で死去した母親が幼い頃に住んでいた家に里帰りし、長く放置されていたレコード・プレーヤーとレコードが見つかる。祖父のリチャード・ファーンズワースがそれを見て、「お前のお母さんは、お前ぐらいの年ごろには、お前と同じようにいつも音楽を聴いていたものだ」と言う。そしてレコードをかけてみると、流れてくるのはThe BeatlesのIn My Life。『ビッグ・ダディ』で、アダム・サンドラーとジョーイ・ローレン・アダムスが、ともに昔はStyxのファンだったということがわかって盛り上がる場面でStyxの音楽が流れるというのと比べると、どちらの映画も健全である。

2001/7/4

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