Fカップの憂うつ

Slums of Beverly Hills

Tamara Jenkins / Natasha Lyonne,Alan Arkin,Marisa Tomei,Mena Suvari,Carl Reiner,Rita Moreno / 1998

★★★

出来は良くないが印象深い

 監督のタマラ・ジェンキンスは、商業映画はおそらくこれが最初。ロバート・レッドフォードがエグゼクティブ・プロデューサーをしているサンダンス系っぽいインディー映画。

『Fカップの憂うつ』という何とも恥ずかしい邦題は、ナターシャ・リオン演じるハイティーンの少女が思春期に入って、胸が大きくなってきたことを悩んでいることを指す。ただし、そのことは映画の本筋とはあまり関係なく、アラン・アーキンを父親とするその家族が、金もないのにベヴァリー・ヒルズの貸しアパートを転々としているところに、ヤク中でリハビリ施設から脱走してきた親戚のマリサ・トメイが居候をするというストーリーにもあまり意味はない。要するに、奇妙な設定の中で奇妙な人々が奇妙なことをする人間模様を描いたコメディ。1970年代を舞台としている。

 出来はよくない、というかはっきり言って下手だが、いくつかの魅力がある。主演のナターシャ・リオンは『世界中がアイ・ラブ・ユー』より後、『アメリカン・パイ』よりも前ということになる(ちなみにミーナ・スヴァーリが端役で出ている)。その父親のアラン・アーキン、従姉のマリサ・トメイなどと真っ向から張り合う存在感で、見事なものだ。もちろんアラン・アーキンとマリサ・トメイもともに魅力的で、小さい役ながらアラン・アーキンの兄夫婦としてカール・ライナーとリタ・モレノ(!!)が出演しているのも興味深い。

 1970年代の音楽や風俗を使った時代ものなのだが、アラン・アーキンからの連想もあるのだろうか、映画自体が60〜70年代のコメディを連想させる作りだった。内容はぜんぜん違うのだけれども、たとえば『キャッチ22』とか『シャーロック・ホームズの素敵な挑戦』とか『あきれたあきれた大作戦』などを思い出す(言っとくけど、レベルはぜんぜん低い)。なぜこういう感じを受けるのか興味深いところだ。そういうスタイルのコメディが90年代に受けないのは当たり前ではあろう。

2001/9/1

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