シャフト

Shaft

John Singleton / Samuel L. Jackson,Vanessa Williams,Jeffrey Wright,Christian Bale,Dan Hedaya,Toni Collette / 2000

★★

くだらん

 監督のジョン・シングルトンは『ボーイズ'ン・ザ・フッド』という頭の痛くなる映画がデビュー作だった人。いわゆる『黒いジャガー』"Shaft"(1971)のシリーズのリメイク。このシリーズは60年代から70年代にかけてのアメリカのブラック・パワー・ムービーの代表作だが、正直言って面白くないです。ちなみに『夜の大捜査線』は1967年で、シドニー・ポワチエは白人に魂を売ったと言われ、一連のブラック・パワー・ムービーはそれへのアンチテーゼとして位置づけられたわけだけれども、残念ながらカウンター・カルチャーはたいがい質が低いということで。

 本作では、黒人刑事のシャフトをサミュエル・L・ジャクソンが演じているが、この90年代に、ハリウッドの大スターとしての地位を獲得しているジャクソンがシャフトを演じると、ブラック・パワーというかカウンター・カルチャーとしての意味が消失し、そこに残るのは『リーサル・ウェポン』シリーズのメル・ギブソンよりも暴力的で短絡的な、傲慢な一刑事でしかない。黒人であるというだけで意味があった時代は終わったとつくづく感じた。チョウ・ユンファが中国系の刑事を演じる『NYPD15分署』がコンテンポラリーなのである。あるいは一巡して『コップランド』とか。ちなみにオリジナルのジョン・シャフトを演じたリチャード・ラウンドトゥリーが、本作のシャフトの叔父の役で出ている。

 ヴァネッサ・ウィリアムズがヒロインとも言いがたい中途半端な役。黒人の数合わせにしか見えない。事件を目撃するウェイトレスにトニー・コレット。あまり美しくない白人女性を持ってきた、という感じ。この映画では悪人の方がずっと魅力的である。ヒスパニックのギャングの親玉を演じるジェフリー・ライト、金持ちの悪人を演じるクリスチャン・ベイル、悪徳警官のダン・ヘダヤなどはもちろん、小粒の悪人たちまでもが生き生きとしている。つまりこの映画、主人公のサミュエル・L・ジャクソンも含めて、善玉が揃って退屈なのだ。

 見せ場が多いジェフリー・ライトは、『バスキア』でバスキアを演じ、『楽園をください』では解放奴隷を演じているアフリカ系アメリカ人である。正直言って、この映画ではヒスパニックの青年にしか見えなかった。勘違いかと思ったが、いろいろとデータを確認しても、やはり同一人物。驚愕の一言。今後要注目。

2001/9/1

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