サウスパーク/無修正映画版

South Park: Bigger Longer & Uncut

Trey Parker / Trey Parker,Matt Stone,Mary Kay Bergman,Isaac Hayes / 1999

★★★★

とりあえず笑える

 TVアニメの映画化。TV版を見たことがなく、「下品である」という評判ぐらいしか知らずに見始めたのだが、冒頭のミュージカル・シーンから完全に引き込まれた。驚くことにこの勢いは最後まで持続し、その中に抒情と感動があるというかなりアクロバチックな映画だった。

 私は英語のネイティブ・スピーカーではないので、S-wordにもF-wordにもそれほどの生理的衝撃を受けないが、それにもかかわらずというべきか、それゆえにというべきか、S-wordやF-wordを連発する映画はあまり好きでない。下品であることに安住しすぎていると感じることが多いからだ。まあクエンティン・タランティーノとかスパイク・リーとか。しかし本作は、下品な言葉そのものがストーリーの中に組み込まれており、過剰なほどに発せられるため、無化効果のせいで安住を不可能にしている。そのような中で、「バーブラ・ストライサンド!」というようなセリフが大きな効果を発揮する。

 監督と共同脚本のトレイ・パーカーとマット・ストーンがほとんどの人物の声を当てているようだが、ミュージカル・シーンはスコアも歌もかなり本格的で、60年代以降のブロードウェイ・ミュージカルや最近のディズニー映画の「パロディ」と表現しては失礼なほどの完成度だ。こういうフレームワークの中でこそ、バカバカしい歌詞が活きる。

 言葉遣いのせいでR指定となったわけだけれども、私は『A.I.』こそR指定にするべきだと思う(実際にはPG-13)。本作はストーリーの点でも、子供の扱い方の点でも、言葉遣いの点を除けば驚くほど良識的で、生半可なディズニー映画よりも有用な教訓に満ちている。一方、『A.I.』は、子供にはちょっと見せられないようなチャイルド・ポルノグラフィーであった。この『サウスパーク/無修正映画版』という作品は、アメリカのレーティングのこのような矛盾そのものをテーマの1つとしているわけだけれども、シニカルにならずにこのような感動的なストーリーを作るセンスは実に好ましい。私は実際、死んだあの子(名前を忘れた)が、裸の女の人が大勢いる天国に行けたときに心から喜びを覚えてしまった。

 なおこの映画ほど、英語のサブタイトルを出せるDVDをありがたく思ったことはない。聴き取るのが難しいが、歌詞がそうとう下らなくて面白い。

2001/9/9

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