17歳のカルテ

Girl, Interrupted

James Mangold / Winona Ryder,Angelina Jolie,Clea DuVall,Whoopi Goldberg,Jared Leto,Vanessa Redgrave / 1999

★★

うっとうしい

 監督のジェームズ・マンゴールドは『コップランド』の人。1960年代末に境界性人格障害(borderline personality disorder)と診断されて精神病院に入れられた経験を描いたスザンナ・ケイセンの手記の映画化。主演のウィノナ・ライダーがエグゼクティブ・プロデューサーとして名を連ねている。

 予想どおりに、おそろしく鬱陶しい映画だった。ウィノナ・ライダーは、この作品に入れ込むあまり、すべてのカットで過剰な演技をしている。1つ1つのカットについて、脚本を読み込んで、主人公の心情を推測し、全身全霊で演技しましたという感じだ。そうはいっても結局のところ、この主人公は映画の最初から最後まで「思春期の少女の不安」という単一の心情しか持っていないわけである。本作の演技でアカデミー助演女優賞を獲得したアンジェリーナ・ジョリーはもっと悪く、すべてのカットでジャック・ニコルソンになっている、というかすべてのカットがそうなるのがジャック・ニコルソンなわけだが。というわけで私は、この映画を見ている間は『シャイニング』を思い出していた。アンジェリーナ・ジョリーがジャック・ニコルソンでウィノナ・ライダーがシェリー・デュヴァル。顔の怖さがそれぞれ似ている。

 ウーピー・ゴールドバーグは看護婦のようなmotherly figureの役がこのところ多いが、本作はこれが悪い方向に出ている。うまく行っていたのは『フォー・エヴァー・ライフ/旅立ちの朝』で、要するに彼女に思い入れたっぷりの演技をさせちゃダメなのである。ウィノナ・ライダーと同室の患者にクレア・デュヴァル。彼女も含めて、病棟の仲間の少女たちはいずれも存在が薄い。ウィノナ・ライダーのボーイフレンドにジャレッド・レトー。特筆すべきところはない。ヴァネッサ・レッドグレーヴが精神科医の役で出ているが、たしかに役者としての貫禄はあるけれども、映画の中で治療者としての説得力はまるでない。

 なお本作では、ペトゥラ・クラークの『ダウンタウン』が数回にわたって使われている。ペトゥラ・クラークのファンとしては嬉しいのだが、ウィノナ・ライダーがギターを持って歌うシーンが中途半端なのがやけに気に障った。もっと感動的にならないものかね。

 DVDにはカットされたシーンがいくつか収録されている。本作は粗編集では3時間もの長さになったそうで、これを2時間強に縮めるためにいろいろと捨てたとのこと。これらはカットしたのは正解だったと言うしかないような低品質のシーンばかりなのだが、結果として得られた完成品の2時間のフィルムが、「ストーリー上意味のあるカット」ばかりになってしまった経緯が偲ばれる。この映画、ウィノナ・ライダーとアンジェリーナ・ジョリーがリキを入れて演技をしてしまうようなシーンとカットばかりから構成されていて、それが息の詰まる原因となっているわけだけれども、要するに2時間にまとめるにはストーリー上の要素が多すぎるということなんだと思われる。カットされたシーン群を挿入すれば事態が改善されるというわけでもなさそうで、結局は脚本の練り不足ということだろう。

2001/9/9

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