サード・ウォッチ

Third Watch

John Wells / Michael Beach,Coby Bell,Bobby Cannavale,Amy Carlson / 1999

★★★★★

見応えある

 『ER 緊急救命室』に絡んでいるジョン・ウェルズがエグゼクティブ・プロデューサーとなっているTVシリーズ。今回は第1話と第2話の入っているDVDを見た。

 シリーズの最初の数回では特に力を入れるのだろうけれども、この2話分を見た限りでは、非常によく作られていて面白い。もちろん『ER』も最初の数エピソードだけを見れば同じぐらい面白かったのかもしれないのだが。ニューヨーク・シティで消防隊員、警官、およびパラメディックとして働いている人々の物語。『ER』と同じ「群像もの」のスタイルだが、舞台が1つの病院に限定されない分、話の広がりも大きくなりそうだ。まあとりあえず見てみたということで。

 なお、私はこの手のTVシリーズを見慣れていないから新鮮に感じるのだけれども、見慣れている人は、『ER』と同じ「複数のエピソードが同時進行する群像人情もの」にはすでに辟易しているかもしれない。

2001/9/9

 シーズン1を最後まで見た。たまたま『ER 緊急救命室』のシーズン2つ分をまとめて見た直後だったので、両者の違いがわかって興味深かった。『ER』が基本的にemergency roomで働く人々を中心としているのに対し、こちらは警察官、パラメディック、消防士と、フィールドで働く人々を描いているため、脚本にバラエティを盛り込めるだけでなく、1つの事件が発生したときに、この3つの職業に従事する人々がどのように連係して動くかということを描けるという利点がある。

 この『サード・ウォッチ』は『ER』と比べると、ソープ・オペラ指向であることを最初から隠していない。それ以外の何かであるフリをしていないと言うべきか。45分の時間の中で、1つのドラマティックな出来事が起こり、それに対して人々がある意味で典型的な反応をして、メロドラマが進行し、たいがいは1エピソードで完結する。これが気持ちよいのである。

 おそらくTVシリーズを夢中になって見る人の典型的な反応なのだろうが、このシリーズの出演者たちの多くは実に魅力的で、見ていて楽しい。主要登場人物は9人いるが、そのいずれもが完璧からはほど遠い欠陥人間で、その欠陥も含めて愛せるように描かれている。また、この人々の価値観は実に多様で、脚本はどの特定の価値観にも肩入れしようとしない。ある特定の人間がある特定の価値観を持つに至った事情を理解させることで、完璧な倫理のセットを持つ1人の人間というキャラクター設定を回避しようとしている。「コンフリクト」を作り出すための教科書的テクニックをそのまま適用したような設定ではあるが、このシリーズではそれが見事に成功している。

 この項目を最初に書いたのは2001年9月9日だが、その2日後の9月11日にニューヨークのWTCビルに対するテロリスト攻撃が行われ、ビルの倒壊に巻き込まれて大勢の消防士が死んだ。そのニュースを聞いたときに真っ先に思い出したのが、このシリーズの登場人物たちだった。本シリーズはニューヨーク・シティの架空の管区を担当するNYPDとFDNYの職員たちを主人公に据えており、あの事件で死んだのはまさにこの人々だったのだと思うと、かなりやり切れない気持ちになる(そのせいで続けて見られなかったのである)。このシーズンでも、倒壊や爆発の危険がある建物に消防士たちが入っていく様子を描いたエピソードがいくつもあるが、あの日もFDNYの消防士たちは、まさにこんな形でWTCビルに登っていったんだろうなと想像すると泣けてくる。要するに、完全にハマったということだ。

 TVシリーズとして、『ER』をはるかに凌駕している大傑作だと思う。当初は★4つにしていたが、シーズン1を最後まで見た段階で★5つにアップグレードすることにした。これ以降もこのクオリティが持続していることを祈る。

日本語版オフィシャル・サイト

2002/2/5

 消防士の日常を追うドキュメンタリーとして企画された『9/11』を見たところ、本作で描かれる消防署内の様子は現実そっくりであることがわかった。消防士たちは本当にこのような生活を送っているようだ。

2002/10/20

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