ドッグ・ショウ!

Best in Show

Christopher Guest / Christopher Guest,Eugene Levy,Catherine O'Hara / 2000

★★★★

面白い

 監督・出演のクリストファー・ゲストは『スパイナル・タップ』(1984)の脚本・音楽・主演で有名。最近はあまり目立った活動をしていないようだが(ただし、やはりモキュメンタリーの『Waiting for Guffman』(1996)は良いらしい。未公開なのが残念)、ジェイミー・リー・カーティスの夫であるという事実だけで十分か。そういえば、名前がわからないが、レズビアンのハンドラー役の女性が若い頃のジェイミー・リー・カーティスに似ていた。本作は「モキュメンタリー」というほどのものではなく、ドキュメンタリー仕立てのコメディ。ドッグ・ショウに犬を出場させる人々を面白おかしく描くという趣向。

 最近見た似たような形式のものに、田舎町の美人コンテストの顛末を描いた『わたしが美しくなった100の秘密』があったが、あちらが非現実的な展開で笑いを取ろうとしていたのに対し、こちらは飽くまでも現実にいそうな、しかしどこかネジの緩んでいる人々を描いている。その按配が見事なので、ちゃんと笑える。

 この映画の美点は、役者たちが演じる人物に、ちゃんとリアリティがあるということだ。普通の映画のようなリアリティではなく、ドキュメンタリーの中に出てくる人間のリアリティというレベルである。これは映画全体を通してそうなのだが、特に感動したのはクライマックスでキャサリン・オハラ演じる"Cookie"が足を捻挫して、その夫の(共同で脚本を書いている)ユージン・レヴィがハンドラーとして出場しなくてはならなくなったときの周囲のハンドラーたちのリアクション。フォーカスが合っていないところで写っている心配そうな表情とてきぱきとした対応は、普通の映画には出てこないタイプのものだった。この映画の作者が、『わたしが美しくなった100の秘密』や『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』などの作者と比べて一歩抜きんでているのはこの点にある。

 空転するギャグが少なくないが、細かいレベルでの独特のリアリティ(特にゲイのカップルが良い)がそれを補ってあまりある佳作。

2001/9/15

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