最後通告

Vollmond

Fredi M. Murer / Hanspeter Muller,Lilo Baur / 1998

★★

できそこないの学生映画のような

 フレディ・M・ムーラーの『山の焚火』(1985)以来の劇場用映画。スイス、ドイツ、フランスの資本。原題の"Vollmond"はドイツ語で、"full moon"すなわち「満月」の意味。出来の悪い学生映画のようなストーリーとプロダクションだが、予想のつかない展開というサプライズの面ではかなりのレベル。「なんじゃそりゃー」という驚きを映画に求めている人にはお勧めできる。

 ある日、子供が行方不明になる。スイス・ドイツ語を喋る主人公の刑事が調べてみると、スイスの4つの言語圏から3人ずつ、合わせて12人の子供が同時期に失踪していることが判明する。それぞれの言語圏の人はそれぞれの言語を喋るが、各地の警察を集めた合同捜査の会議では標準ドイツ語(高地ドイツ語)が使われる。この言語の多様さそのものが映画のプロットと密接な関連を持っている。この点だけでなく、ストーリー上のトリックとして使われる仕掛けが、あからさまなシンボリズムでかなり興醒めではある。

 「ニュー・ジャーマン・シネマ」の政治色の強かった部分(ストラウプとかシュレーターとか)が、80年代以降の左翼が「緑の党」の方向に接近したのとパラレルに動いたが、映画作りが下手な点は変わっていませんでした、という感じ。それでもたとえばヴィム・ヴェンダースの凋落ぶりと比べればずっとマシかもしれない。思わせぶりな演出やきれいな映像でごまかすことを一切しない直球勝負と言えなくもないのである。

2001/9/22

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