ペイ・フォワード

Pay It Forward

Mimi Leder / Kevin Spacey,Helen Hunt,Haley Joel Osment,Jay Mohr, James Caviezel,Jon Bon Jovi,Angie Dickinson / 2000

★★★★

ミミ・レダーの一番いい映画

 ミミ・レダー監督作品。3人の他人に善意を施し、その3人がそれぞれ別の3人に善意を施せば、この世は善くなるという親切ネズミ講の話をミミ・レダーが監督し、しかもそれを学校の社会科のプロジェクトとして思いついたのがヘイリー・ジョエル・オズメントであるというのだから、どんなに大変な映画になっているかと怖かったのだが、これはミミ・レダーのいままでのもの(『ディープ・インパクト』(1998)、『ピースメーカー』(1997))の中では最高の出来になっていると思った。とにかく役者の力が凄く、それを引き出した(あるいは許容した)ミミ・レダーも同じように称賛すべきだろう。

 ちなみにこのネズミ講のおおもとの親であるヘイリー・ジョエル・オズメントが行う3つの親切は、(1) ホームレスを家に呼んで飯を食わせ、金を与える->ヤク中に逆戻りして失敗、(2) クラスメートがガキ大将にいじめられるのを防ぐ->体がすくんでしまって失敗、(3) 童貞の身体障害者に女をあてがう->執拗なプレッシャーをかけた末に成功、というものである。その童貞の身体障害者は、もともとの課題を出した教師のケヴィン・スペイシー、あてがった女は自分の母親のヘレン・ハントなのだから、これはそうとう思い切った脚本である。ところでこの親切の輪は、発祥の地のラスヴェガスから遠く西海岸まで拡がるのだが、そのチェーンの中にヘレン・ハントがいる。このヘレン・ハントの1つ上の親が誰なのかが私にはよくわからなかった。論理的にはヘイリー・ジョエル・オズメントとケヴィン・スペイシーの2つの可能性が考えられるのだが、このどちらの可能性もストーリーの流れからは否定される。いちばん妥当なのは、ヘレン・ハントが勝手に勘違いをして自ら親となったという仮説だ。そして彼女が与える親切は、自分の母親のアンジー・ディッキンソンに対し、孫への面会を許可するというこれまた凄いものである。

 もう1つの流れである、新聞記者のジェイ・モーアが自分にまで到達した親切のチェーンをたどってヘイリー・ジョエル・オズメントまで行き着くというプロットも、メインのストーリーとうまく統合されているという感じがしない。それなのにこの映画の慣性が持続するのは、こうした破綻具合が(最後まで謎解きを引きずるという構成もあって)最後の方まで明らかにならないという理由もあるけれども、ケヴィン・スペイシーとヘレン・ハントがその力量でもって間を持たせているからだ。ヘレン・ハントは『恋愛小説家』以上の力業だろうし、ケヴィン・スペイシーは『L.A.コンフィデンシャル』と同レベルの名演。もったいないと言えばもったいないのだが、エンディングを含めてバカバカしさ満載のこんな映画が見られるものになっていることを、映画の奇跡の1つとして大事にしたいと思う。

 アンジー・ディッキンソンを久しぶりに見た。1932年生まれだからとうぜんおばあちゃんになっていたが、『キルトに綴る愛』のジーン・シモンズのような悲惨なものではなく、チャーミングでよかった。暴力的な父親にジョン・ボン・ジョヴィ。いい味を出しつつある。ホームレスの男にジェームズ・カヴィーゼル。かっこいい。

2001/10/10

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