リストラ・マン

Office Space

Mike Judge / Ron Livingston,Jennifer Aniston,Ajay Naidu,David Herman,Gary Cole,Stephen Root,John C. McGinley / 1999

★★★★★

面白い

 監督のマイク・ジャッジはアニメーションの『ビーバス&バッドヘッド』(未見)を作った人。本作はそれよりも前に作った同タイトルの"Office Space"という短篇アニメーションの映画化ということのようだ。

 テキサス州のIT企業で働くやる気のないプログラマを主人公とするサラリーマンもの。90年代アメリカ版の『ニッポン無責任時代』というわけではなく、このサラリーマンは90年代アメリカのイケイケの状態の中で、2000年問題のパッチ当ての仕事をやらされて、心底からやる気を失っている。出社時にドアノブを触ると静電気が走る、上司が嫌味だ、オヤジ・ギャグに耐えなくてはならない、プリンタが紙詰まりを起こす、レポートにカバーレターを付けるのを忘れたせいで上司とその上司とそのまた上司から注意される、電話受付嬢の声が癇に障る、キュービクルが息が詰まる、ファイルの保存に時間がかかる、首切りを本職とするefficiency expertsがやってくる、などのベタとしか言いようのないオフィス・ネタがなぜか面白い傑作である。冒頭からして、出勤時の車の渋滞に苛立つ主人公たちの描写が面白かったのには驚愕した。そんな映画がありうるとは!

 残念ながら、後半に入ってプロットが少し弱くなるが、そんなことは全然問題にならないほど、コメディとしてのタイミング、演出、演技、セリフなどがよくできている。役者たちは全員が良いが、特にラップ好きの「マイケル・ボルトン」を演じるデヴィッド・ハーマン、"M-kay"、"What's happening?"、"...go ahead and..."、"That'll be greeeeaaaaat"などが口癖の上司のゲイリー・コール、コンサルタントのジョン・C・マッギンリーなどは、後からその演技を思い出すだけでも笑ってしまうような名場面をいくつも作っている。

 主人公の恋人となるウェイトレスのジェニファー・アニストンが良い。本作の出演者の中ではギャラも格も最も高いと思われる役者で、出演時間も短いのだが、どのシーンも完璧に近い。特に、主人公のロン・リヴィングストンと初めてランチをとるときの視線の泳ぎ方、ロン・リヴィングストンから悪巧みの計画を聞いたときのおっそろしくまっとうな反応などが見ていて心地よい。私はもともとこの人をTVシリーズの『フレンズ』で知り、ぜんぜん好きになれなかったのだが、『あなたに逢えるその日まで…』『私の愛情の対象』『彼女は最高』『ピクチャー・パーフェクト/彼女が彼に決めた理由』と見てきて、いまでは熱烈なファンになってしまった。主演作品よりも、本作のように脇役としてきっちりとした演技をして映画全体の質を上げるという役回りで大きな効果を発揮する。

 変名を使っているが、ジェニファー・アニストンに対して"pieces of flare"の件で注意をする嫌な上司は監督のマイク・ジャッジらしい。アニストンに中指突きつけられて顔をそむけるというような細かいところでの配慮が楽しい。

2001/10/10

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