ベティ・サイズモア

Nurse Betty

Neil LaBute / Morgan Freeman,Renee Zellweger,Chris Rock,Greg Kinnear,Aaron Eckhart,Tia Texada,Crispin Glover / 2000

★★★★

かなり奇跡的な

 監督のニール・ラビュートは3作目。レニー・ゼルウェガー主演のロマンティック・コメディ。カンザスの田舎町に住む主婦が、残虐な事件を目撃したショックから、お気に入りのTVシリーズの主演俳優のグレッグ・キニアを昔のフィアンセと思い込み、ハリウッドを目指す。

 途中いくどとなくダメになりかかり、そのたびに何らかの奇跡が起こって正しい軌道に戻るという、映画のあり方そのものにサスペンスが埋め込まれているような作品だった。特にレニー・ゼルウェガーを追いかける殺し屋のモーガン・フリーマンとクリス・ロックの二人組を描くシーンは、脚本のレベルでも映像化のレベルでもかなりやばく、彼らの道がレニー・ゼルウェガーの道と交わるクライマックスの部分の説得力がかなり削がれている。モーガン・フリーマンがグランド・キャニオンでベティの幻覚にキスしようとするシーンなんかは限界ぎりぎりのところだ。

 そういう場面を見せられて、もうダメかと思ったら、次のLAの場面でレニー・ゼルウェガーが出てきて奇跡をなしとげるのである。この映画メモで取り上げているこの人の出演作には、『エンパイア・レコード』『ライアー』『母の眠り』『プロポーズ』『ふたりの男とひとりの女』があるが、いずれもレニー・ゼルウェガーを脇役として使っておきながら、彼女単体のレベルが映画全体のレベルを上回っているというような映画だった。本作は『ザ・エージェント』(1996)以来の、映画全体が彼女単体のレベルに追いついているというか、彼女の存在感をちゃんと活かした映画ということになるだろう。モーガン・フリーマンのパートはともかく、彼女の側の脚本は非常によく出来ていてサスペンスフルである。

 彼女がTV番組のセットに投げ出されるシーンは長らく記憶に残るだろう名場面。しかしそれ以上に、混乱した彼女に「正常」に対応をしてしまう脇役たちのリアクションと脚本が素晴らしい。グレッグ・キニアは『ミステリー・メン』でも似たような役を演じており、典型的なTVドラマ的なハンサムという桎梏を逆手にとる道を見いだしたようだ。

2001/11/10

 再見。やはりこれは非常にいい映画であり、ベティが初めて憧れのTV役者に出会うところは歴史に残る名シーンである。

 DVDの音声解説は非常に楽しい。監督の解説によると、本作の粗編集の段階では4時間の長さになっていたのを半分に減らしたとのこと。DVDにはカットされたシーンがいくつも入っている。これを見ると、モーガン・フリーマンとクリス・ロックの追跡行を描いた部分に抱いた不満は、重要な要素がカットされたせいなのかもしれないと思った。

2002/09/03

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