ザ・ダイバー

Men of Honor

George Tillman Jr / Robert DeNiro,Cuba Gooding Jr,Charlize Theron / 2000

ダメすぎる

 監督のジョージ・ティルマンJrは『ソウル・フード』(1997)(未見)の人で、これが2作目。米海軍で、初めての黒人の「マスター・ダイバー」となった人物をベースにした実話もの。

 そういう映画はこのように作ってはいけないという見本のようなものだった。主役を演じるキューバ・グッディングJrは、『コンフェッション』『ハーモニーベイの夜明け』の路線。ボロボロの脚本を、物憂げなキューバ・グッディングJrの表情と盛り上がる音楽によってなんとか支えようとする試みのみによって映画が進んでいく。共演者にまで毒が回り、レイシストだが後に友人に転じる鬼軍曹を演じるロバート・デニーロは、『ハーモニーベイの夜明け』のアンソニー・ホプキンスに似た罠にはまっている。その妻を演じるシャリーズ・セロンも含めて、「いろいろな思いを込めた視線」というタイプの演技が安っぽく見えるだけなのが可哀想だ。

 米海軍における人種差別が、第二次世界大戦が終わって20年が経過してもこういう状態だったということを知らしめるという点で、このところときどき見られる修正主義的な映画(『U-571』など)の中ではそれなりの意味を持っているかもしれない。この問題については、読書メモの『二次大戦下の「アメリカ民主主義」』が面白い。また、『海底からの生還』という本は、米海軍におけるダイビングの創世期を扱ったノンフィクション。

 それにしても、つくづくあらゆる要素がダメな映画なんだけれども、一番の問題はダイビングという主題を面白く描くことに失敗しているところにあると思う。グッディングJrとデニーロの酒場での対決シーン、グッディングJrの最終試験のシーン、そしてクライマックスの海軍の審問会のシーンなど、ダイビングという主題に関わる「盛り上がるべきシーン」は、いずれも見たら笑うよ。これで観客を感動させるつもりなんかい、と。

2001/11/10

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