天使のくれた時間

Family Man,The

Brett Ratner / Nicolas Cage,Tea Leoni,Don Cheadle,Jeremy Piven / 2000

★★★★

捨てがたい

 監督のブレット・ラトナーは『ラッシュ・アワー』の人。根本的に「わかってない」人という印象がある。

 M&Aのビジネスで成功しているニコラス・ケイジが、13年前に別れた女、テア・レオーニと結婚してファミリー・マンになっているパラレル・ワールドにつれていかれる。それを仕掛けるのがドン・チードル(ここでも黒人がangelic figureを演じる)、パラレル・ワールドでの親友にジェレミー・ピヴェン(『ベリー・バッド・ウェディング』では凄く良かった)。

 ニコラス・ケイジが入れ替わったことを周りの人が、特にテア・レオーニが気づかないことの不自然さをどう処理するかが主な関心事になるけれども、そんなことまったく考えずに突っ走っている。そのせいで娘のマッケンジー・ヴェガのみが気づくという設定もあまり活きていない。もちろん、ニコラス・ケイジが入れ替わったときの困惑とその後の適応もうまく描かれていない。このタイプの設定の映画では致命的なことだろう。

 そういう欠点を補ってあまりあるのが、個人的好みなのかもしれないが、テア・レオーニの美しさである。『ジュラシック・パークIII』も非常に良かったので、『ディープ・インパクト』の大失敗は完全に帳消しになったと言ってよい。アネット・ベニングの後継者として大きく花開いて欲しい。それだけに、テア・レオーニが入れ替わりに気づかなかったこと、したがって彼女が入れ替わりに気づく瞬間がなかったことが残念なのだが。その他、ニコラス・ケイジと娘のマッケンジー・ヴェガとの絡みでは、いくつか泣かせる場面がある。

 DVDには編集で削除されたシーンがいくつか入っているのだが、その中にはストーリー上の機能を果たしているものが多い。たとえば、13年前に空港で別れるときの二人の間の会話とか(このときにテア・レオーニがニコラス・ケイジに渡すプレゼントが後々への伏線として効いてくるのだが、最初のシーンが削除されたために効果がなくなっている)、タイヤ販売店で働くニコラス・ケイジが大きな取引をまとめるとか(これが削除されたせいで元の世界で働いていた会社に売り込みをかけるまでの経緯がちょっと唐突になっている)、娘とのインタラクションが起こるいくつかのシーン(これらが削除されたせいで、パラレル・ワールドでニコラス・ケイジが娘に抱いた愛の描写が薄くなっている)。これらのクオリティは決して低くないので、削除されたのは純粋に時間的制約のせいだろう。これらがすべて入っていたら、映画の説得力はずっと増していたかもしれないと思うと残念である。

 特に娘とのやりとりは、残ったものも削除されたものもいずれも良いので、全部入っていたらそうとう泣けたかもしれない。考えてみれば、テア・レオーニについては、現実の世界に戻って反省して、空港に駆けつけて無理を言えばなんとかなるものの(それにしても相手にしてみればそうとう奇怪な振る舞いだと思うぞ。『ハイ・フィデリティ』のジョン・キューザックが過去のガールフレンドに対してやったのと同じ行為だ)、パラレル・ワールドでの2人の子供は絶対に取り戻すことができないのである。仮にこれから子供を作ったとしても、同じものは絶対にできない。つまり永久に失われたわけである。これは相当きついことであり、この面を強調しすぎると、本作は「甘いエンディング」からかけ離れたものになってしまう。そういう配慮もあったのだろうか?

2001/12/8

 再見して思いの外よかったので、★4つにアップグレードすることにした。ニコラス・ケイジが嫌みでなく、テア・レオーニが可愛いというだけでOK。

2003/5/12

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