DENGEKI 電撃

Exit Wounds

Andrzej Bartokowiak / Steven Seagal,DMX,Isaiah Washington,Michael Jai White,Bill Duke,Jill Hennessy,Tom Arnold,Bruce McGill / 2001

★★

悪い方向へと向かっているか

 監督のアンジェイ・バートコウィアクは、撮影監督としては有名かつ有能だが、『ロミオ・マスト・ダイ』(未見。というか、途中で見るのをやめた)で監督デビューしちゃった人。2作目。

 スティーヴン・セガール主演のアクション映画。『沈黙の陰謀』(1998)、『沈黙の断崖』(1997)と駄作が続いており、『マイ・ジャイアント』(1998)と『エグゼクティブ・デシジョン』(1996)は主演ではなかった。DVD収録のメイキング映像を見ると、セガール本人がこのような状況に焦っているようで、その結果、これまでのセガール映画とはちょっと異なる雰囲気の映画となったようだ。でも、これはかえって悪い方に行っている。

 本作ではワイヤ・アクションが取り入れられている。これは、セガール本人も含む製作者たちのきわめて前向きな態度を反映したシフトであることが、リアリスティックなアクションは観客の受けが悪いということが繰り返して語られるインタビューから推測できる。たしかにいまのアメリカ映画は、香港からの人材流入を伴って、ワイヤーを使った派手なアクションが流行している。しかし、前から香港映画を見ていた人にとって、1980年代末に現れたセガール映画は、不自然になりすぎていた格闘映画にリアリズムのタッチをもたらしたがゆえに新鮮だったのであり、今回のシフトは逆行にしか見えない。この分野だとジェット・リーやジャッキー・チェンと競争しなくちゃならないが、それでいいのか?

 スティーヴン・セガールの最初の4作(1991年の『アウト・フォー・ジャスティス』まで)は良質なアクション映画である。それ以降の映画がダメなのは、セガールのアクションが原因なのではなくて、脚本と映像上の工夫の問題なのだ。もちろん、セレブリティとしての地位が上がってしまったがゆえに、脚本に制約が出てきて、セガール本人の発する迫力とあいまって「映画の中のセガールが強すぎて適切な敵を作ることができない」という難しい問題が生じたという経緯もあるにせよ、それはテクニカルに解決可能な問題である。その問題を解決するというはっきりとした意思がないままにダラダラと映画を作ってしまったのが、『沈黙の戦艦』(1992)以降の失敗の原因だと思う。

 本作のように、セガールをダメ警官として位置づけるというような「いじり」をしても事態はよくならない。だって、どんなにコミカルな扱いをしても、セガールの顔はやはり怖いわけだし、単に道を歩いているだけでその姿勢からは風格がにじみ出る。この「スターの風格」は、昨今のハリウッド映画の役者には希有な資質なのだから、素直に活かすべきだ。忌避していることはわかるけど、悪い人間、犯罪者を演じてみてはどうか。

 ドラッグ・ディーラーを演じるDMXが標準以上に良かったのが印象に残る。逆にいえば、それぐらいしか注目に値する要素がなかったのかも。

2001/12/8

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