シュレック

Shrek

Andrew Adamson,Vicky Jenson / Mike Myers,Eddie Murphy,Cameron Diaz,John Lithgow,Vincent Cassel / 2001

★★★★★

美しい

 ドリームワークスのフルCGIアニメーション。醜いオーガーのシュレックが、悪い王様の命を受けて、囚われのお姫様の救出に向かうというファンタジー。

 伝統的なおとぎ話やディズニー映画には、子供に触れさせるべきではないと思われるようなnon-PCなストーリーが少なくないが、本作はそうした側面を徹底的に皮肉って相対化することで、超PCなファンタジーを作ることを目指している(ちなみに私は、『サウスパーク/無修正映画版』もPCな映画だと思っている)。この試みはかなり成功しており、映画を見ている間、ほとんど不快感を感じることがなかった。ただそれだけに、この映画に含まれている2つの差別意識が強く目立っている。1つは、背の高さに関する差別意識。容貌の美醜は相対的でも、身長は絶対的である。もう1つは、フィオナ姫の「醜い姿」が有色人種のメタファーであること。あれは一応映画の中では醜いということになっているけれども、「美しい黒人女性」に似ているだけでなく、少なからずの日本のアイドルに似ている。たとえばジャネット・ジャクソンと宇多田ヒカル(他にあまり知らないのでこの人の名前を出しただけで、非常に多くの日本人タレントも)は、フィオナ姫の美しい姿よりも醜い姿の方にずっと近い。その醜さを相対化することがPCになると思っているのだから、根は深いといえよう。

 とは言え、ほとんどの時間は安心して見ていられるし、そもそも映画はPCコンテストではない。この映画は、楽しいアイデアを詰め込んだよくできた脚本をベースに、フルCGIでファンタジー映画にふさわしい風景を作りだし、正統的なカット割りで映像の流れを作り出している上質な娯楽作品である。大人が十分に楽しめるだけでなく、『102』『ダイナソー』よりは子供に安心して見せられる映画ではある。

 声を担当しているロバ役のエディー・マーフィーとファークアード卿役のジョン・リスゴーは非常によい。プリンセス・フィオナ役のキャメロン・ディアスには、『ベスト・フレンズ・ウェディング』と同様に、音痴であることを活かしたいい場面がある。しかし一番驚いたのは、シュレックの声を担当しているマイク・マイヤーズだった。もともと別の人が予定されていたらしいが、本作のマイク・マイヤーズは本人の顔が思い浮かばないほど個性のない声を出し、それがまたシュレックにぴったりと合っている。

2002/1/4

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